ニットのゲージとは?選び方とケア方法
編み目の大きさや重量、素材など、ニットを選ぶときあなたは何を基準にしていますか?ニットを選ぶ際に重要なポイントの一つが「ゲージ(G)」と呼ばれるものです。このゲージの違いによって、見た目や着心地に大きな影響を与えます。ではゲージとはニットの何を示すものなのでしょうか?
この記事では、ゲージの基本的な知識から、用途に応じた選び方、そして基本的なケア方法までを解説していきます。ゲージについての知識を深めることでニット選びがより楽しくなると思いますので、是非ご覧ください。
ゲージ(G)とは?
ニット製品の重要な要素の一つが「ゲージ」。編み目の大きさを示す単位であり、目の細かさや密度を調整するために使われています。また、ゲージの大きさはサイズや質感に大きな影響を与えます。
編み目の大きさを表す単位
ニットを近くで見てみると「V字」になっている編み目を確認することができます。ニットを編む際には、「1本の編み針で作られる、1つのV字状の編み目」が形成されます。
そしてゲージとは「1インチ(2.54cm)の間に何本の編み針で編まれているのか」を指しています。つまり「1インチの間にいくつV字が存在するか」がゲージの単位となります。例えば「8ゲージ」だと「1インチの間を8本の編み針で編んだもの」を意味するのです。数値が高い「ハイゲージ」は編み目が細かく、逆の「ローゲージ」では編み目が大きく粗い特徴があります。
また、ニット製品用の編み機はそれぞれのゲージに応じて設計されていて、針の本数やサイズが異なります。「6ゲージ用の編み機には1インチに6本、12ゲージ用では12本・・・」といった具合に針が配置されており、数値が高くなるほど針は細く、低くなると針は太くなっていきます。そのため使用する糸も大きさも変わり、生地はハイゲージニットでは薄く、ローゲージニットでは厚くなるのです。
ちなみに、ゲージは「編んだ際の1インチあたりの編み針の数」を指し「生地に加工された際の1インチあたりのニットの数」ではありません。なぜなら、ほとんどの生地が加工過程で縮んでしまうため。よって加工後の生地はハイゲージに近づくと言えます。
ゲージの選び方
ニットのゲージ選びは着用するシーンや季節、また個人の好みによって変わります。それは同じ素材を使用していたとしても、ゲージによって大きく印象が変わるためです。
【用途】
普段の洋服として欲しいのか、それともフォーマルなスタイルに合わせたいのかで選ぶゲージは変わります。前者であれば、どのゲージを選んでも特に問題はありませんが、後者ではハイゲージがおすすめ。特にビジネスシーンでのニットは編み目が細かく、カジュアルでないものがベターです。スーツやジャケットとの相性も良く、薄らと光沢の見られるハイゲージはフォーマル向きだと言えます。
【季節】
素材にもよりますが、ハイゲージは春・秋、ローゲージは秋・冬、ミドルゲージはその間をとった春・秋・冬に対応しています。季節にあったゲージのニットを選ぶことで体温コントロールができ、なおかつ季節感を演出するおしゃれなスタイリングを作ることができます。
【個人の好み】
ゲージよって大きく変わるのがシルエット。ハイゲージになると、カットソーのようにスリムなものが多く、ローゲージではゆったりめのシルエットになります。レイヤードとしてインナーに着用したいのであればハイゲージ。ボリュームのあるトップスとして、メインで合わせたいのであればローゲージがおすすめ。中間のゲージであるミドルゲージは、レイヤードでもメインのトップスでも万能に対応してくれます。
ゲージの種類
採用されるゲージによってニットの表情が変わるといっても過言ではありません。ゲージの種類は大きく分けて「ハイゲージ」「ミドルゲージ」「ローゲージ」の3つ。それぞれの特徴をご紹介します。
ハイゲージ
とても細かい編み目で編まれたニットのことを指します。一般的に12ゲージ以上のものを「ハイゲージ」と呼び、きめ細やかなテクスチャが特徴です。
しなやかでとろみのある肌触りを持ち、上品な印象。そのためビジネスシーンでも違和感なくフィットし、シャツ+ニットのスタイリングやジャケットのインナーとしても重宝します。デザインはネクタイとの相性の良いVネックやカーディガン、汎用性の高いクルーネックがおすすめ。オフィスカジュアルであればタートルネックもクリーンな着こなしを実現してくれます。カジュアルなスタイリングにも対応し、ハイゲージニットはその他のゲージのニットと比べると凹凸感がないため、カットソー感覚で着用することも可能です。
シーズンとしては春や秋口など暖かい時期に最適。生地が薄く、軽やかに見える一方で、糸密度が高いため保温性に優れています。 なおかつ通気性が良く、こもった熱気を逃してくれるのでストレスフリーな着心地に。ハイゲージニットは軽く柔らかなアイテムである反面、形崩れしないようにケアが必要です。
実はサマーニットと呼ばれる夏用のニットはハイゲージで作られています。もちろん冬用のニットとは違って素材はコットンやリネンを採用。汗をかいても蒸れない、吸湿性に優れた素材にすることで、1日中サラッとした肌触りを実現します。ハイゲージの特徴と素材の特性をいかすことで、夏でも快適に着ることが可能なのです。
ミドルゲージ
ミドルゲージはハイゲージとローゲージの中間に位置するバランスの取れたニット。ゲージ数は大体7〜11ゲージで、適度な厚みと柔らかさを感じることができます。また軽さもあるため、長時間の着用でもストレスを感じにくいのも特徴です。
ミドルゲージニットは通気性・保温性の両方に優れているので、レイヤードスタイルを取り入れれば、秋・冬・春の3シーズンで活躍。丁度良い厚みはジャケットやアウターの下に着込んでも窮屈感はなく、フレキシブルな着こなし方に対応しています。また素材によっては単品でも、十分な保温性を発揮することができるため、ワードローブとして持っておきたいニットです。
1枚で着ていても様になる存在感があり、合わせるアイテムをあまり選ばないのが特徴。汎用性が高く、スラックスや革靴と合わせた「きれいめなスタイル」、デニムやスニーカーと合わせた「カジュアルな着こなし」といった幅広いスタイリングに対応。またビジネスシーンでもフィットしてくれます。
ハイゲージと比べると編み目が目立つため、ファッション性のあるコーディネートが可能です。デザインとしては、ケーブル編みやリブ編みといった立体的なものが施されることが多く、視覚的にも温かみを感じる印象があります。トレンドに左右されることがなく、定番のニットとして毎年活躍してくれます。
ローゲージ
6ゲージ以下がローゲージニットとされ、ざっくりとした大きな編み目が特徴です。太い糸を用いて、ゆったりと編み込まれたニットはボリューム感があり、カジュアルな雰囲気を醸し出します。
ボリュームゆえに少し重さを感じますが、その分防寒性に優れているため、冷気をしっかりと防ぎ、十分な厚みが暖かさを与えてくれます。ニットの素材によってはジャケットやコートにも匹敵するほどの保温性で、ライトアウターとしても着用することができます。
ローゲージニットはミドルゲージニットよりも、立体的な編み目が際立つため、シンプルなコーディネートのアクセントとして重宝します。リラックスムードのあるスタイリングを得意とし、デニムやワイドパンツなどのラフなパンツと相性が抜群です。
デザインはボリュームのあるローゲージニットのディテールをいかして、ケーブル編みやワッフル編みといった編み方が多く採用されています。また、カウチンセーターによく用いられる動物柄やノルディック柄も、ローゲージの雰囲気が相まって、個性的な仕上がりとなっています。
トレンドの動きとしては、毛足の長いローゲージニットが人気。モヘアやシャギータイプのニットは取り扱っているショップも多く、選択肢が広がっているのも嬉しいポイントです。また、ローゲージは編み目が広いので、引っかかりには注意が必要です。
ケア方法
お気に入りのニットは、しっかりとしたケアを行うことで、その美しさと心地良さを長く保つことができます。デリケートな素材であることが多いため、少し丁寧に扱うことが重要です。ここではニットの洗い方から保管方法まで、基本的なケアのポイントを紹介します。
まずは洗濯表示をチェック
ニットは素材や編み方、ゲージによって扱い方が異なります。そのためニットを洗う前には必ず、洗濯タグに記載されている「洗濯表示」をチェックしましょう。
なお、2016年12月より洗濯表示の規格が変わっているので、以前に購入したニットの場合は洗濯表示が異なる場合があります。事前にしっかりと確認しておくと安心です。
【桶の中央に数値が記載されているマーク】
これは自宅での洗濯機使用が可能ということをあらわします。数値は水温の上限を指していて、それを超えてしまうとニットがダメージを受ける危険性があります。また洗濯機を使う際は「ドライコース」を選び、ネットに入れてから洗濯することが重要です。
【桶と手のマーク】
洗濯機は使えませんが、手洗いは可能な製品をあらわしています。 アクリルやポリエステル、コットンのような素材であれば洗濯機で洗うことは可能ですが、ウールのような動物性素材は基本的に手洗いが必須となっています。その手洗い方法は後述に。
【桶にバツマーク】
水洗い自体がNGということをあらわし、家庭洗濯では対応できません。そのためプロのクリーニングに依頼することが必要です。また、アンゴラやモヘア・カシミヤといった風合いをキープしておきたいニットも、無理に家庭洗濯せずクリーニングに任せることで、長く愛用することができます。
手洗い
ニットに使用する洗剤は「中性洗剤」ということを覚えておきましょう。アルカリ性のものだと動物性の繊維にダメージを与え、繊維同士が絡み合ってしまうからです。
洗剤水を作り、浸す
ニットを洗う前にまずは、ぬるま湯(約30°C以下)に中性洗剤を溶かし「洗剤水」を作ります。洗剤は直接ニットへはかけず、水に溶かすことでムラなく洗うことができます。
この時、手洗い中の摩擦による毛玉やダメージを極力防ぐため、ニットを裏返しにしておきましょう。
優しく押し洗い
浸したニットを押し洗いします。ニットの洗い方の基本は押し洗いが必須です。決して強く揉んだり、力を入れて擦ったりしないようにしましょう。特に汚れが気になる箇所があれば、丁寧に押して洗います。
洗剤を含んだ水を軽く押し込むようにして洗えば、汚れがスムーズに落ちてくれます。特に汚れがつきやすい襟元や袖口部分に効果的です。また、長時間水に浸けてしまうと、色落ちや繊維が傷んでしまう可能性があるため、10分程度を目安に手早く洗いましょう。
すすぎ~脱水
手洗いをした後は洗剤が残ってしまわないようにしっかりとすすぎ、脱水を行います。ここで洗剤が残っていると、繊維が劣化したり肌へ刺激を与えたりすることがあるため丁寧にすすぐことが大切です。
すすぎの際もぬるま湯を使い、2、3回ほど水を取り替えて洗剤を流し切ります。柔軟剤を入れるのはこのタイミングで、そこに少量のリンスも加えると、ニットの縮み対策にもなります。
脱水はニットの形崩れにも影響するため、もっとも注意が必要な作業と言えます。おすすめは「バスタオル」を使った脱水方法で、ニットを包み、その上から軽く手押しして余分な水分を吸い取ります。こうすることで形を崩すことなく、簡単に水を抜くことができます。
また洗濯機の脱水機能を使う場合は、必ず「弱回転かつ短時間」の脱水を選ぶようにしましょう。長時間の脱水は生地を痛める原因になります。
干す
ニットを乾かす際は「平干し」が原則です。文字通り、平らな状態でニットを干します。そうすることで形崩れを防ぐことができます。
ニットを洗濯した時に形崩れや生地の伸びを起こしやすいのが「乾かしている時」。脱水後のニットは水分を含んでいるため重量があります。そこでハンガーに吊るしたり、誤った方法で干してしまうと形崩れを起こしてしまうのです。
干す場所は風通しの良い日陰で干すのが理想的。直射日光に長時間当ててしまうと色褪せや生地の痛みに繋がります。平干し用のネットを用意しておくと、ニットをより簡単に干すことができます。
注意点として、乾燥機の使用は厳禁です。高音の熱は繊維を傷つけ、縮みや変形を引き起こしてしまいます。
保管
ニットを長持ちさせるためには、洗った後の保管方法も重要です。
まずはニットをしっかり乾かします。少しでも湿気が残っていると、カビや虫食いの原因にもなります。
また、ニットは畳んで保管するのがベスト。ハンガーにかけて収納してしまうと、肩や首回りが伸びてしまい、ディテールが崩れてしまう可能性も。
そして、畳んだニットは通気性の良い収納袋や引き出しに収納しましょう。その際、ニットを重ねすぎないようにすることで、通気性を保ちつつ型崩れを防ぐことができます。
畳んで収納した時に気になるのが「折りジワ」。特に薄手のニットやワンピースではこのシワが顕著にあらわれてしまいます。そんな時はタオルを間に挟むことで、シワを軽減させることができます。また引き出しには、折り畳んだニットを立てて収納することでシワを作りにくくし、なおかつ素早く取り出すことも可能です。
着用後のケアとしては、ブラッシングがおすすめ。余計なホコリを取り除き、絡みかけた繊維もほぐしてくれて、毛玉対策にもなります。
まとめ
最後までご覧頂きありがとうございます。ニットのゲージについて理解を深めていただけたでしょうか?ニットはゲージの違いによって、見た目や着心地が大きく変わります。用途や季節、個人の好みに合わせて、最適なゲージのニットを選んでください。また、今回ご紹介したケア方法については基本的な内容ですので、必ず品質表示タグを確認するようご注意ください。ケア方法を正しく行うことでお気に入りのニットも長く愛用できますので、是非ご参考にしていていただけますと幸いです。
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この記事を書いた人
MODESCAPE
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