環境を配慮した「Patagonia」のロングセラーアイテム
リサイクル素材を使用し環境に配慮した製品作りを行うアウトドアブランド「patagonia 」。アウトドアに適した耐久性のある機能的なウェアやアウトドア活動に必要なギアを展開しており、その機能性とデザイン性の高さから多くのファンに愛され続けています。
今回の記事では、数あるアイテムの中でもロングセラーを続けるpatagoniaを代表する定番アイテムをご紹介いたします。アイテムの歴史や特徴をはじめ、リニューアルモデルは旧モデルとの比較もしていきますので、是非ご覧ください。
patagoniaの環境的責任
patagoniaでは、世界が注目する以前からサステナブルなモノづくりやフェアトレードに対して真摯に向き合ってきました。今後のアパレル業界の基準になるであろう、patagoniaが行っている取り組みをご紹介します。
出典 carbonherald.com
レスポンシブル・ウール・スタンダード(RWS)
レスポンシブル・ウール・スタンダード(RWS)とは管理された農場で生産されたウール原料が、製品になるまでの製造過程において「適切に使用され、管理されていること」を証明する国際的な認証基準を意味します。認証を取得するには「動物の人道的な扱い」「健康的な土地」「健全なサプライチェーンとの取引」などが審査の対象となります。
patagoniaでは2014年以降からRWSを意識し、環境に配慮した製品作りをスタート。ブランドが製品に用いるウールには100%、RWSの認証を受けています。さらにpatagoniaは独自にパタゴニア・ウール・スタンダード(PWS)も開発。RWSをベースとしながらも高水準な品質を保っています。今後もRWSの改善を続け、動物福祉の向上と持続可能なウール生産の推進に努めていくことを目指しています。
ブルーサインの認証済み
ブルーサインとは、スイスに拠点を置く「ブルーサイン・テクノロジー」によって運営と管理がされている認証。アパレル・繊維業界において「労働・環境・消費者」を軸に、サステナブルなサプライチェーン(原材料の調達から販売に至るまで)を取り組んだ製品に与えられる認証です。
patagoniaでは2000年からブルーサインと提携し、製造過程で使用される染色用の原料や化学薬品などを審査してきました。2007年からは認証を授与され、ブルーサイン・パートナーに加盟する初のブランドに。2022年にはpatagoniaの仕入れ業者の内、上位9社がブルーサイン・パートナーであり、製品作りにはブルーサイン認証された化学薬品のみを採用しています。ちなみにブルーサインは世界で1番厳しい基準とされており、その認証を受けたパートナーは「環境に配慮した安全なブランド」の証明だと言えます。
フェアトレード・サーティファイドの工場で製造
フェアトレード・サーティファイドとは「フェアトレードUSA」が管理している認証マークを指します。アパレル業界の労働者は、世界的に見ても最も低い賃金で働いていると言われています。劣悪な環境での労働や正当な対価が支払われていない等のケースが度々見られ、そのような生産者を守るために「フェアトレード」という制度があります。
patagoniaでは製品を作る工場を持っていないため、彼らの賃金を管理することができません。そのためフェアトレードUSAとのパートナーシップを通す形で、労働者に対して恩恵を施しています。2014年からフェアトレード認証された工場で製造しており、その製品1つ1つに賞与が支払われているのです。賞与は労働者に直接支給されていて、使い道は彼ら自身で決めることができます。また第三者に干渉されることもありません。patagoniaのこの取り組みはこれまでに、世界10ヵ国7万2000人以上もの労働者に恩恵をもたらしました。
DASパーカー
極寒の地での着用を想定したビレイ用パーカー。軽量かつ高い保温力があり、登山やキャンプに最適です。
歴史と特徴
1990年代後半にあったpatagoniaブームの火付け役とも呼べる「DASパーカー」。名前にあるDASは「Dead Air Space」という断熱の空気層を意味する頭文字から取ったもの。1992年から2016年まで製造されており、1度廃盤となりましたが、2020年に新たなアップデートバージョンがリリースされています。
クライミング用ジャケットのため、軽さが魅力。その上保温性も備えていて、中綿には「プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコ」が採用されています。ちなみに1992年製のDASパーカーのみ、フードが着脱可能な仕様でした。前述したフェアトレード・サーティファイドの工事で作られているため、労働者に賞与が贈られるアイテムとなっています。
希少価値の高い過去作
フェニックスレッド
1997年にリリースされたフェニックスレッド。アウトドアブランドならではの発色の良さを誇ります。
MARS
patagoniaが2000年代初頭に軍用のウェアとして、アメリカ軍へ納品していた「MARS」ライン。一般公開がされていないシリーズで、希少価値があります。MARSのDASパーカーはミリタリーらしく、落ち着いたカーキカラーが特徴。
ゲッコーグリーン
DASパーカーは様々なカラーバリエーションで展開していますが、その中でも一際目を惹くのが2002年の1年間だけ生産された「ゲッコーグリーン」。ヤモリを意味するゲッコーは、現在でも古着市場で高値の取り引きがされています。
クラシック・レトロX・ジャケット
patagoniaのフリースジャケットの定番である通称「レトロX」。リリースされた当初から現在に至るまで、ブランドのアイコンアイテムとして鎮座しています。
歴史
1985年にクラシック・レトロX・ジャケットの原形となる、patagonia独自の「シンチラ素材」を用いたフリースジャケットが発表されました。「毛玉にならない」と話題の新素材は爆発的に広まり、これをきっかけにpatagoniaはアウトドアブランドのトップへと上り詰めました。
その後、1993年にクラシック・レトロX・ジャケットをリリース。フリースの弱点とされていた防風性を「防風フィルム」を採用することでカバーし、機能性が飛躍的に上昇。現在に至るまで、様々なアップデートが繰り返し行われています。「クラシック」というワードは2006年から付けられ、文字通りpatagoniaの定番アイテムとして幅広い世代から認知されています。
レトロ感のあるデザイン
リサイクルポリエステルが85%含まれた、環境に優しい素材を採用。6mm厚のパイルフリースはしっかりとした保温力があります。そのためアウトドアシーンはもちろん、タウンユースまで用途問わず着用できるのが特徴。それはファッション性のあるデザインのおかげでもあります。
豊富なカラーバリエーションに加えて、胸元にある切り替え素材のナイロンポケットが非常に秀逸。ブランドロゴと同様に、patagoniaをあらわすディテールとなっています。初代のレトロXでは胸元にポケットはなく、襟元はパイピング仕様。サイズ感はやや小さく、とてもミニマルな作りをしていました。
トレントシェルジャケット
発表当初からアップデートを重ね、現在では環境に配慮した素材を搭載。また、patagoniaのエントリーモデルとしても定評があります。
歴史
1999年に初代トレンドシェルジャケットが発表されました。その後、一時的に製品ラインから外れましたが、2010年に再び市場へ登場。2020年には素材が2.5層構造から3層構造へとアップデートされました。
patagoniaのレインウェアとして20年以上もの歴史を持つアイテムで、初代モデルと比べると着心地や耐久面が大幅に向上しました。また通常、レインウェアに施される撥水処理には「PFC」と呼ばれる、フッ素化合物が用いられています。水を弾くという便利な性質の反面、自然界で分解されにくく「永遠に残留する化学物質」としても知られています。
ゆくゆくは人体・環境に悪影響を及ぼす物質であるため、patagoniaではPFCフリーの耐久性撥水剤を使用。撥水機能はそのままに、環境に配慮した製品へとブラッシュアップされました。
アウトドアから日常着にも
多少の雨風なら防ぐことのできるトレンドシェルジャケット。信頼のある防水性と透湿性は、patagoniaが開発した長期間にわたるテスト「H2Noパフォーマンス・スタンダード」を経て作られた、独自素材のおかげです。
3層構造にはそれぞれ役割があり「撥水機能のある表地」「水の侵入を防ぎ、内部の湿気を逃すメンブレン」「快適な肌触りを実現する裏地」で構成されています。日常使いにも重宝し、50デニールのリサイクルナイロン生地は張りがあり、リップストップ素材のおかげでダメージにも強い作りになっています。
BAGGIES JACKET
ライトアウターとして重宝するBAGGIES JACKET。2022年を境に時代に合わせた大幅なアップデートが行われました。
歴史と特徴
patagoniaのクラシックアイテムとして人気が高いBAGGIES JACKET。2022年にアップデートがされ、ディテールや採用される素材に変化が見られました。シルエットはコーチジャケットのようで、アウトドアシーンだけでなく、日常使いでもしっかりと馴染んでくれます。またラグランスリーブは腕周りの可動を快適にしてくれて、着心地に窮屈感はありません。
フェアトレード・サーティファイドの工場で作られており、生地には漁網をリサイクルした「ネットプラス・ポストコンシューマーリサイクル・ナイロン」を採用。さらに、PFCフリーで施された撥水加工も備えてあります。
入手困難な旧モデル
BAGGIES JACKETは2022年以前の旧モデルも人気があり、古着市場で高値で取り引きがされています。新モデルとのディテールの大きな違いは「スタンドカラー」と「リブ編み仕様」な点。首元まで上げることのできるジップは、より防風性を高めるギミックとなっていました。
全体的な雰囲気としてはアウトドアかつスポーティ寄りなアイテムだったと言えます。人気のカラーはブルームグレーとダークボレアリスグリーンで、今でも入手困難とされています。
キャプリーン
patagoniaの技術を用いて作られたベースレイヤー。様々なアクティビティに対応し、透湿性・速乾性・保温性に優れたポリエステル製のウェアです。キャプリーンシリーズは大まかに「キャプリーン・ベースレイヤー」と「キャプリーン・クール」に分けられます。
キャプリーンの種類
キャプリーン・ミッドウェイト
保温性と通気性の両方が必要なシーズンやアクティビティに最適なミッドウェイトで、万能タイプのベースレイヤーと言えます。リサイクルポリエステルを使用した生地は湿気を逃しながらも、しっかりと暖かさは閉じ込め、常にストレスフリーな着心地を実現してくれます。
キャプリーン・サーマルウェイト
積雪シーズンのような、寒いシチュエーションに重宝するサーマルウェイト。軽量な上に、保温性と通気性が兼ね備えられています。ハイキュ・フレッシュ抗菌防臭加工が施されているため、何日間にも渡るトレッキングでも安心して着用することができます。
キャプリーン・エア
極寒の地域でも十分な暖かさを発揮してくれるエア。シームレスな3Dニットで裁縫されているため、快適な着心地に。RWS認証済みのメリノウール51%、そしてリサイクルポリエステル49%の混紡素材を使用。保温性に優れたメリノウールと速乾性の良いポリエステルで構成された秀逸なウェアです。
キャプリーン・クール・ライトウェイト
Tシャツがたった74gで、キャプリーンシリーズで1番軽量とされているライトウェイト。生地に見られる凹凸状のテクスチャーはリサイクルポリエステル採用で、吸湿発散性と速乾性があります。汗をかいてもすぐに乾いてくれるので、夏のアクティビティに最適です。
キャプリーン・クール・デイリー
キャプリーンシリーズの中でも最も汎用性の高いデイリー。リサイクルポリエステルでありながら、シルクのような肌触りで透け感がないのがポイント。また、伸縮性にも優れているので身体の動きに合わせてフィットしてくれます。patagonia製品によく見られるハイキュ・ピュア防臭加工済みで、抗菌仕様。雑菌が繁殖するのを抑制します。
キャプリーン・クール・トレイル
こちらもデイリー同様に多用途で使用可能。キャプリーン・クールシリーズに共通するコットンライクな見た目はタウンユースでも馴染んでくれます。特筆すべきはリサイクルポリエステルに混紡されている、環境に配慮した素材「ナイア・リュー」。この素材はリヨセルやテンセルのようなエコ繊維で、再生可能な木材パルプとリサイクル困難な廃棄物を分解したプラスチックを合わせて作られています。
キャプリーン・クール・メリノ
RWS認証されたウールとリサイクルポリエステルを合わせたメリノ。ニット素材でありながらオールシーズンに対応してくれる優れものです。速乾性・吸湿発散性があり、いつでもサラリとした着心地に。暖かさを感じながらも決してオーバーヒートすることはなく、このウェア自体が体温管理を担ってくれます。
Baggies Shorts
幅広い用途での活躍が期待できる、patagoniaの定番アイテム。夏らしい豊富なカラー展開と様々なデザインがラインナップされています。
誕生のきっかけ
「Baggiesシリーズ」の発端となったBaggies Shortsは1982年に発表されました。誕生のきっかけはpatagoniaの創業者である「イヴォン・シュイナード」が購入した、マカオ製のナイロンショーツ。機能的なナイロンショーツでしたが彼にとってはやや細身だったため、それを商品開発チームへと渡し、ルーズフィットなショーツを作るように依頼します。そうして生まれたのがBaggies Shorts。現在ではフェアトレード・サーティファイの工場で製造され、誕生以来、多くのファンを獲得し続けています。
水陸両用ショーツ
アウトドアブランドらしく、水陸両用で着用できるのがBaggies Shortsの魅力です。海洋プラスチック汚染の削減に貢献できる、リサイクルナイロンを採用。裏地がメッシュ素材ということも相まって、十分な速乾性を誇っています。カラーバリエーションやデザインも豊富。夏に映える発色の良いカラーが展開されています。ショーツの長さは5インチと7インチの2種類あり、それぞれ「Baggies Shorts」「Baggies Long」と呼ばれています。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。ロングセラーを続けるpatagoniaの定番アイテムをご紹介致しました。環境への配慮も忘れず、持続可能な製品作りを続けるpatagoniaのアイテムは、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。是非お気に入りの一着を見つけて、アウトドアライフを楽しんでみてはいかがですか。
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patagoniaの買取について
この記事を書いた人
小川剛司 (MODESCAPE 編集部)
ライター・ファッションモデル。学生時代のアルバイトからファッションの世界へ。大手セレクトショップの販売員、ECスタッフを経て、長年携わったアパレルの経験と知識を活かしWEBライターに。数々のファッションマガジンサイトで執筆を行い、メンズ・レディース問わずおしゃれを発信しています。現在は韓国を拠点にモデル活動しており、更なるファッション知識を探求中! Instagram:@t_t_k_k_s_s