アパレル界の未来を変える企業“Spiber”
こんにちは、モードスケープの小川です。
昨今“サステナブル”という言葉がニュースでも多く取り上げられていますね。
サステナブルの本来の意味とは、「維持できる」「耐えうる」「持ちこたえられる」を意味。
しかし近年では、社会や人間の活動が地球環境を壊すことなく、環境資源を使い切ることのないよう配慮し、現在の地球環境を維持し未来に向けて継続・発展していこうという意味で広く用いられるようになりました。
今年の7月からスタートしたレジ袋の有料化もその一環。
最初は少し違和感がありましたが、有料化から約4ヶ月経って少しずつですが、日本のサステナブルに対する意識が変化してきているように感じます。
こういった取り組みは日本だけではなく世界中で行われており、デンマークやスウェーデン、フィンランドでは何年も前から目を向けており、サステナブル先進国として現在その取り組みが注目されています。
もちろんアパレル業界も例外ではなく、オンワード樫山はシーズンを過ぎたアイテムを安く購入することができるオフプライスストア業態の展開したり、ベイクルーズは同社スタッフが購入した自社商品を店舗で再販売する取り組みを行っています。
そして、いま注目されているのが『繊維業界』。
アパレル業界において生産したものを最後まで責任を持って売るということはもちろんですが、素材の段階からサステナブルに目を向けることで、より地球に優しい衣服を生み出せるのではないのかと言うことです。
前置きが長くなりましたが今回は、いま注目の繊維企業“Spiber（スパイバー）とファッションブランドがコラボレーションしたアイテムをご紹介させていただきます。
1点目は誰もが知るアウトドアブランドとのコレボレーションTシャツ。
【THE NORTH FACE × Spiber Planetary Equilibrium Tee】
一見普通のTシャツですが、このTシャツに用いられたのはゴールドウィンとの共同研究で開発されたタンパク質素材「ブリュード・プロテイン™」とコットンを掛け合わせた生地。
プロテインと聞くとどうしてもダイエットやボディメイクのために飲む方を想像してしまいますが、プロテインは日本語で『タンパク質』を意味します。
この「ブリュード・プロテイン™」とは、植物由来のバイオマスを主な原料とし、微生物発酵（ブリューイング）プロセスによりつくられる人工タンパク質素材。
従来の石油を原料とする合成繊維とは異なり、地球上に豊富に存在するタンパク質を発酵させて原料を生産できるため、著しくエネルギー消費量が少なく、環境負荷が小さいことが最大の特徴の革新的な素材なのです。
組成表期は82％がコットンで18％が「ブリュード・プロテイン™」を使用していますが、触り心地や見た目はコットン100％と見分けるのは難しいほど。
実はこの『82:18』という配合には意味があり、地球の生き物のうち82.5％が植物で、微生物が17％、残りの0.5％が動物というバランスに倣ったもので、｢生態系バランスをベースに動物資源に頼らないという意図を込めた数値｣なのだそうです。
こちらは抽選で販売され、価格は25,000円でしたが一時期は30,000～35,000円ほどで取引されていました。
2着目のご紹介もTHE NORTH FACEとのコラボレーション。
【THE NORTH FACE × Spiber MOON PARKA】
MOON PARKAと名付けられたこのジャケットは、「困難だが実現すれば巨大なインパクトをもたらす壮大な挑戦」という意味として使われる「Moonshot（ムーンショット）」に由来。
先程のTシャツと同様に写真をみただけでは違いがあまりわかりませんが、勿論「ブリュード・プロテイン™」が使われています。
「ブリュード・プロテイン™」を3層からなる表地の表側に使用しており、表地の中間層に防水透湿ラミネートを、中綿にTHE NORTH FACEのハイエンドモデル「SUMMIT SERIES」にも採用実績のある「900フィルパワーのクリーンダウン」を使用し、防水透湿・保温性も備えています。
また、裏地には月面着陸に成功したアポロ11号が撮影した地球をプリントし、“人間が持つ無限の可能性”と“困難に勇気をもって挑み、乗り越える”という強い意志が表現されています。
世界50着限定で販売され、価格は150,000＋TAX。
インラインと比べるととても高額ですが、世界中が注目する革新的素材をいち早く纏う事ができることを考えるとむしろ安い気もする値段ですね。
最後は日本を代表するデザイナーズブランドとのコラボレーション。
【sacai × Spiber 20SS プリントTシャツ】
阿部千登勢の手がけるsacaiとSpiber のコラボレーションTシャツ。
国内では青山店でのみ展開され、もちろん「ブリュード・プロテイン™」が配合されています。
パッと目に飛び込んでくるプリントは、人類で初めて月面着陸したニール・アームストロングの言葉““One small step for man, one giant leap for mankind（一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大なる飛躍である）”を引用したもの。
アパレル界の未来を変える可能性がある「ブリュード・プロテイン™」を使ったこのTシャツにピッタリな言葉ですね。
今回は洋服をご紹介させていただきましたが、「ブリュード・プロテイン™」は将来的に自動車の部品に応用する事も考えられているそう。
また、アパレルについても今はまだ天然素材に「ブリュード・プロテイン™」を配合して製品化している段階ですが、裏地や中綿、更にはファスナーまでつくることができれば、もし不要になったとしても完全なリサイクルが可能になるそうですよ。
今はまだ「ブリュード・プロテイン™」を使うと必然とコストが高くなってしまいますが、技術が進歩すれば近い将来手の届きやすい価格で買う事ができるかもしれませんね。
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MODESCAPE
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