エレガントを追求し、世代を超えて愛される「Christian Dior」
世界中のセレブ達からも愛され、女性が憧れるブランド「Christian Dior」。アパレルをはじめバッグやコスメなど幅広いジャンルを展開し、特にダイアナ妃も愛用されたバッグ「レディ ディオール」は有名ですよね。また、Christian Diorは現在までに名だたるデザイナー達が担い、ブランドを支え続けてきた背景があります。
この記事では、そんなChristian Diorの誕生から歴代デザイナー、ブランドのアイコンアイテムを解説し、デザイナーとともに変化し続け今なお人気を博すChristian Diorの魅力についてご紹介いたします。
Christian Diorとは?
戦後間も無くして立ち上げられたChristian Dior。斬新なデザインは当時から女性たちを魅力し続けており、ファッションのみならず香水やメイクコスメ、ジュエリーからホームアイテムに至るまで幅広い事業を展開しています。
出典 etoile-luxuryvintage.com
歴史とコンセプト
1946年にオートクチュールのメゾンとして誕生したのが「Christian Dior」。創業者である「クリスチャン・ディオール 」が41歳の時に立ち上げたブランドです。
1905年にフランスの郊外で生まれた彼は実業家の両親のもと、裕福な家庭で育ちました。幼い頃から造形の美しいものや芸術に興味を持っており、建築家を志していたそう。多彩な才能を持っていた彼は1928年に父の援助もあり、友人と共に画廊を持つことになります。ですが世界恐慌によって父の会社が倒産。そしてクリスチャン自身も病に倒れたり、徴兵に行かなければならなかったりと、辛い時期を過ごします。
1941年にフランス人デザイナーである「リュシアン・ルロン」のもとでアシスタントとして働いていた時、競走馬生産者や繊維業界で大富豪として知られていた「マルセル・ブサック」と出会います。クリスチャンのセンスに目を付けた彼はオートクチュールメゾンの立ち上げを提案。その結果、誕生したのがChristian Diorなのです。
女性の社会進出にスポットを当てたコンセプトで「女性の持つエレガントさ」を追求。1947年に披露した「丸みをあるショルダー」や「タイトに絞ったウエスト」「ロングスカート」というような、女性らしいシルエットが特徴のファーストコレクションは当時大きな話題となりました。
「ニュールック」が話題
ファーストコレクションで発表されたデザインは「ニュールック」と呼ばれ、瞬く間にトレンドとなりました。爆発的な人気の理由は当時の時代背景にとても左右されていたから。第二次世界大戦が1945年に終焉を迎える前までは、世間はファッションを楽しむという余裕もなく、それに加えて「女性らしさ」というものは抑制されていました。
だからこそChristian Diorが発信したスタイルは多くの女性から支持され「ニュールック」=「平和のシンボル」として受け入れられたのです。「8ライン」と呼ばれる、ウエストが引き締まっていて、かつボリュームのあるフレアスカートのドレスはエレガントな女性らしさを見事に体現しています。これまでの従来のコレクションとは違い、毎シーズンごとに新しいスタイルを見せるChristian Diorのコレクションは当時としては斬新なもので、現在のコレクションの原形になったと言われています。
展開するラインナップ
アパレル製品に関してはメンズ・レディース・キッズのプレタポルテを取り扱っています。それに加えて、実はオートクチュールコレクションが現在でも発表され続けており、Christian Diorの礎を体感することができます。
フレグランスやコスメも展開しており香水部門に関しては創業したわずか2年後に「Parfums Christian Dior」を立ち上げ。ファッションの一部として香水が取り入れられており、クリスチャンは「香りは女性の美を完成させるに必要な要素の1つ」という考えを持っていました。その他にジュエリー部門の「Oui」、「ROSE DES VENTS」コレクションやホームアイテムを取り扱った「Dior Maison」があります。
歴代デザイナー
長い歴史のあるChristian Diorを支えてきた、歴代デザイナーをご紹介。時代によって必要性のある進化を遂げてきたデザインは、デザイナーによって十人十色な表情を見せてくれます。
Christian Dior
ブランドのメインラインと言えるChristian Dior。創業者を始め、現在では自身の名が老舗高級メゾンとして知られるデザイナー等、錚々たるメンバーが在籍していました。
デザイナー | 功績 |
---|---|
クリスチャン・ディオール | Christian Diorの創業者であり、初代デザイナーである「クリスチャン・ディオール」。前述したニュールックと呼ばれる、女性らしいシルエットのアイテムをデザイン。瞬く間に世間へと浸透し、爆発的な人気を誇りました。 1946年から約10年ほどデザイナーとしてファッション界自体を牽引してきた彼ですが、1957年に起きた心臓発作により急逝してしまいます。 |
イヴ・サンローラン | 2代目デザイナーとしてChristian Diorを任されることになったのがのちに「モードの帝王」と呼ばれる「イヴ・サンローラン」です。当時21歳だった彼ですがその頃から才能が見え隠れしており、前任のクリスチャンと「同じデザインセンスを持っている」という理由でブランドに迎えられていました。 ブランドのアーカイブにも刻まれている、彼の生み出した「トラペーズライン」はニュールックへのリスペクトを彷彿とさせ、同じく女性たちの間でトレンドとなりました。当時新聞でも彼の功績は讃えられましたが任期していたのはたった3年だけであり、1960年にアルジェリア戦争への徴兵命令を受けてデザイナーを退任することになります。 |
マルク・ボアン | 1960年から1998年までデザイナーを務め、Christian Diorを四半世紀以上支え続けた「マルク・ボアン」。彼が提案した新しいスタイルは「スリムルック」という、タイトなシルエットのもの。身体の輪郭を拾うIラインのデザインはヨーロッパやアメリカ等で反響を呼びました。 デザイナーとしてだけでなく、ブランドの発展にも貢献。キッズラインである「Baby Dior」や、後の「Dior HOMME」へと繋がるメンズライン「Dior MONSIEUR」を立ち上げました。 |
ジャンフランコ・フェレ | アクセサリーデザインを得意とする「ジャンフランコ・フェレ」はオートクチュール、レディースのプレタポルテ、アクセサリー部門のデザインを担当しました。1989年にデザイナーへと就任し、1996年に退任するまでの間、フランスのオートクチュール分野において権威のある「デ・ドール賞」を1990年に受賞。 当時フランスの伝統的なブランドであるChristian Diorを、イタリア出身のフェレ氏がデザイナーを務めるということに世間から反発もありましたが、彼はそれを実力で跳ね返しました。退任の際「オートクチュールはChristian Dior以外では考えられない」と発言し、その後オートクチュールに携わることはありませんでした。 |
ジョン・ガリアーノ | 1996年から2011年までは「ジョン・ガリアーノ」がデザイナーに任命されます。その前年に「GIVENCHY」に在籍していた彼が、Christian Diorへ移籍するというニュースは大きな話題となりました。 クラシカルなブランドイメージを様々なカルチャーと融合させ、新たなイメージで提案する彼のスタイルは、ブランドにとって新たな息吹となりました。 ブランドのアイコンバッグの1つである「サドルバッグ」を生み出しており、彼の手掛けたトロッターラインは現在でもリバイバルされてリリースされるほどの人気ラインです。そんなガリアーノ氏の功績はこちらの記事から詳しくご覧いただけます。 ジョン・ガリアーノがChristian Diorに残した功績 |
ラフ・シモンズ | ガリアーノ氏が人種差別発言でデザイナーを解雇されたことで、Christian Diorでは約1年間主任デザイナーが不在に。そんな中大抜擢されたのが、自身のブランドである「RAF SIMONS」や「PRADA」を手掛けている「ラフ・シモンズ」です。 同時期にChristian Diorも掛け持つこととなった彼はデザイナーとして2012年〜2015年までチームを牽引します。多忙を極めながらも、ブランドの伝統を踏襲したモダン的なコレクションは世界中のファッショニスタから高い評価を受けました。 |
マリア・グラツィア・キウリ | 2016年からChristian Diorのデザイナーを務めるのは、ブランドの歴史上初の女性クリエイティブ・ディレクターである「マリア・グラツィア・キウリ」です。「VALENTINO」でもクリエイティブ・ディレクターを務めた経歴があり、彼女がデザインしたアクセサリーはVALENTINOでの50%のセールスを占めているほど、時代にフィットしたセンスに長けています。 キャッチーなフォルムが特徴の長方形バッグ「ブックトート」を発表したり、名作である「サドルバッグ」をリバイバルさせる等、伝統とモダンを上手く調和させたデザインが魅力です。 |
Dior HOMME
新たに発足したメンズライン。現在ではメインラインと統合がされていて「Dior Homme」の名はありませんが、ブランドの発展に大きく貢献したデザイナー達が参加していました。
デザイナー | 功績 |
---|---|
エディ・スリマン | 2001年にメンズラインDior HOMMEが始動。そこで初代デザイナーを務めることになったのが「エディ・スリマン」です。ブランドに新しいスタイルを持ち込んだ人物であり、これまでのデザインを一新。スキニーやレザータキシードといった細身かつロックなスタイルを提案したことで話題となりました。 デザイナーに就任した翌年、2002年には「CFDAファッションアワード」の「デザイナー・オブ・ジ・イヤー」を受賞します。その後2007年に次のデザイナーへとバトンを渡しました。 |
クリス・ヴァン・アッシュ | 次にDior HOMMEを引き継ぐことになったのが「クリス・ヴァン・アッシュ」です。実は彼は師弟関係であるエディ・スリマンと共にDior HOMME立ち上げの際、「Yves Saint Laurent」から移籍してきました。2004年頃まで師匠の元でアシスタントをしていましたが、自身のブランドを始動させるべく独立。そして再びデザイナーとしてDior HOMMEへと戻ってきたのです。 彼のデザインはファーストルックから話題となり、モードかつクラシカルなテイストを発表しました。2007年から2018年の約11年もの間、Diorのメンズ部門を牽引し続けました。 |
キム・ジョーンズ | そして現在のデザイナーが「キム・ジョーンズ」です。彼が就任してすぐに行ったことは、分かれた存在であったメンズラインの統一です。これによってメンズ・レディース共に「DIOR」へと名称が変更されました。 Louis Vuittonで7年間メンズ部門のデザイナーとして働いた経歴を持つ彼は、新たな環境でもそのクリエイティビティを遺憾無く発揮します。それがストリートブランドとのコラボです。記憶に新しい「NIKE」や「STUSSY」とのコラボは話題となり多くのファッショニスタの関心を集めました。 |
アイコン的な存在
数ある名作からChristian Diorのアイコンアイテムをご紹介。常にアップデートを続け、時には廃盤アイテムを蘇らせ、時には柄を再解釈して新たなデザインへと昇華させています。
バージャケット
ニュールックとして発表された「バージャケット」。開いた首元と大きく引き締まったウエストがポイントのジャケットで、クールな印象がありながらも随所に女性らしさが散りばめられたディテールとなっています。
長年、歴代のデザイナー達によって進化を続けており現在のデザイナーであるマリア・グラツィア・キウリはバージャケットをキルティング仕様にブラッシュアップさせています。Christian Dior史の革命的な1着で、名前はクリスチャンが行きつけだったバーが由来しています。
レディ ディオール
ダイアナ元妃が愛用したことでも知られる「レディ ディオール」。元々は「カナージュ・キュイール」という名前でリリースされていました。
最新のバージャケットにも採用されたカナージュステッチのバッグで、ふっくらとしたテクスチャーが特徴です。ハンドバッグ・ショルダーバッグの2WAY仕様なので使い勝手も良く、デイリーシーンに活躍してくれます。「DIOR」のアルファベットを象ったメタルチャームがさりげなく装飾されており、エレガントさに華を添えています。
サドルバッグ
1999年にジョン・ガリアーノが生み出した名作「サドルバッグ」。馬具からインスピレーションを受けており、柄物やレザーなど幅広い展開をしています。
コレクションで発表した時から人気があったことに加えてセレブの「パリス・ヒルトン」やTVドラマ「Sex and The City」の作中で登場したことでもブームに拍車をかけました。一度廃盤しましたが、2018年に復活。イットバッグとしての地位を確立しました。
ブックトート
すでにChristian Diorの新アイコンバッグとなっている「ブックトート」。高級ブランドがリリースするバッグでありながら、万人に受け入れられる優しい印象があり、デイリーユースやトラベルバッグとしても重宝するサイズ感が魅力。
トロッター柄を再解釈し、新たなデザインとして発表した「オブリーク」を採用。ブランドロゴをモノグラム式に羅列しているため存在感があり、コーディネートのアクセントとしても活躍してくれます。
フレグランス・コスメ
ミス ディオール
コンセプトは「愛のように香る香水」。Christian Dior創業とほぼ同時期からリリースされている香水で、現在では「オードトワレ」「オードパルファン」「ブルーミングブーケ」「ローズ&ローズ」の4種類が展開されています。「マダム」でもなく「マドモアゼル」でもなく「ミス」と名付けたのは、クリスチャンの歳の離れた妹「カトリーヌ」をイメージしたからだと言う説があります。
ルージュ ディオール
Christian Diorのアイコンリップである「ルージュ ディオール」。メイクしながら唇のケアもしてくれるのが特徴です。日進月歩で変化していくコスメ用品なため成分や色味は常にアップデートがされています。ケースもモダンで高級感のある仕上がりになっており、ポーチに入れているだけで気分を高めてくれるリップです。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。Christian Diorの歴史やデザイナーについて見ていきました。数々のデザイナーが携わってきたChristian Diorですが、それぞれのデザイナーらしさを感じる魅力的なデザインとアイテムばかりです。また、創業時から変わらぬ「エレガント」は受け継がれ、現在ではストリート要素のある新しいデザインも展開されています。その時代のファッションを反映し、さらに進化し続けるマリア・グラツィア・キウリ氏とキム・ジョーンズ氏が手掛けるChristian Diorの今後にも是非注目していきたいです。
モードスケープではChristian Diorの買取を強化しています。アイテムの価値を適正に反映し、最高額を見出す査定をいたします。Christian Diorのアイテムを売りに出すか迷っている場合にも、是非モードスケープにご相談下さい。とりあえず値段だけ聞いて検討したいという場合は、LINE査定などで査定額を見積もることも可能です。お気軽にご相談ください。
Christian Diorのお買い取り案内ページはこちら
モードスケープではChristian Diorの買取を強化しています。ウェアをはじめレディディオールやサドルバッグ、ブックトートなどのアイコンバッグは特に高価買取いたします。お買い取りをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
Christian Diorの買取について
この記事を書いた人
小川剛司 (MODESCAPE 編集部)
ライター・ファッションモデル。学生時代のアルバイトからファッションの世界へ。大手セレクトショップの販売員、ECスタッフを経て、長年携わったアパレルの経験と知識を活かしWEBライターに。数々のファッションマガジンサイトで執筆を行い、メンズ・レディース問わずおしゃれを発信しています。現在は韓国を拠点にモデル活動しており、更なるファッション知識を探求中! Instagram:@t_t_k_k_s_s