Gore-Texの機能を長持ちさせるための簡単ケア方法
雨風が強い日や冬場に活躍するGore-Tex素材。防水・防風・透湿・耐久の4つの機能を持つ素材ですが、皆さんはGore-Texウェアのお手入れはしていますか?実は機能性を備えている素材もお手入れを怠ってしまうと、せっかくの機能も発揮しづらくなってしまいます。
そこで、この記事ではGore-Texのお手入れ方法を紹介いたします。一見難しそうではありますが簡単にお手入れできますので、Gore-Texの機能を長持ちさせるために是非お試しください。
Gore-Texの機能は?
Gore-Texにはアウトドアやデイリーユースを快適にする機能を備えています。メンブレーンの構造によって最大限の効果が発揮される「防水」「透湿」「防風」の3つ。それに加えて、摩耗に強く長年愛用することのできる「耐久」です。ここではそれら機能を解説していきます。
防水性
「防水性」はGore-Texが用いられるアウトドアウェアに、欠かせない重要な特性と言えます。
Gore-Texの優れた防水性の秘密は、メンブレーン(膜)の特殊構造にあります。メンブレーンには無数の小さな穴があり、この穴は水分子が通過できないサイズで設計されています。そのため、激しい豪雨や長時間の降雪環境でも、この機能が外部からの水をシャットアウトし、中へ浸透することを防いでくれるのです。
それに加えて、Gore-Tex製品の外層には撥水加工も施されています。撥水加工によって表面に付着した水滴は玉状になり、流れ落ちます。そのため、濡れたままにはならず、生地の防水性を一層高める役割も果たしているのです。
この2種類の対策によってGore-Texは高い防水性を誇り、スキーウェアのようなスポーツアクティビティはもちらん、レインウェアなど様々な用途で活用されています。また、Gore-Texの防水性は厳しいテストによって検証されていることでも有名で、効果が持続されるよう設計されています。そのため、Gore-Texウェアは長時間の使用や過酷な環境下でも安心して着用でき、多くのアウトドア愛好者や専門家から選ばれ続けているのです。
透湿性
Gore-Texの「透湿性」も非常に優れた特性です。
防水機能を維持しながら内部の湿気を外へ逃がすことで、ウェア内の蒸れを防ぎます。これは前述した、メンブレーンに存在する無数の穴が、水蒸気の分子のみを通過させる設計になっているからです。この穴のサイズは水滴より小さいものの、水蒸気の分子よりは大きいため、湿気や汗などの水蒸気を効率よく外部へ放出してくれます。
山登りやランニングなど激しい運動を行った際、通常の防水素材では衣服内が蒸れて不快になることがありますが、Gore-Texはその透湿性により汗を逃がし、ウェア内を常にドライで快適な着心地を実現してくれるのです。「水の侵入を防ぎながら、水分を逃す」というバランスの取れた機能性の高さが、現在でもアウトドアやスポーツシーンでGore-Texが重宝される理由の1つとなっています。
防風性
「防風性」は安全・快適性を確保するために欠かせない機能です。厳しい気候条件で身体が冷えてしまっては、命の危険にすら関わります。
Gore-Texのメンブレーンは水だけでなく、風をもブロックしてくれる性能を持っています。大きな冷気の塊である風ではメンブレーンの穴を通過することはできません。これにより風が強い環境や低温の中での活動でも、冷えから体を守り、快適な状態を保つことができるのです。
防風性は外部の冷たい風が生地を通過して内部に侵入することを防ぎ、ウェア内の体温を維持する効果を持ちますが、ウェア自体にダウンや中綿のような充填物がない限り発熱の機能はありません。そのため、保温性を高めるにはインナーとして「保温性のあるウェア」をレイヤードすることが基本です。
Gore-Texの防風性は、ウェア内の快適な温度とを保つための重要な役割を担っており、悪天候下でもパフォーマンスを最大限に引き出してくれる点が多くの人々に支持されている理由です。
耐久性
Gore-Texは高い耐久性を誇る素材としても知られており、引き裂きや摩耗に強い構造を持っています。この耐久性は防水性と同じく、Gore-Texが設計段階で様々な過酷なテストをクリアしていることに裏付けされています。
例えば、登山やキャンプといったアウトドアアクティビティでは、ウェアやギアが岩や木の枝などに擦れることが多々あります。ですがGore-Texの耐久性があればそのような摩擦や引き裂きにも強く、素材がダメージを受けにくいのです。
耐久性に優れているということは、頻繁に着用しても性能や品質が低下しずらく、長年に渡り同じ製品を愛用し続けることができます。特に、肘や膝など摩耗が多い箇所でもその耐久性を発揮し、頻繁な使用による生地の劣化を防いでくれるのです。
このように、Gore-Texはコストパフォーマンスが高く、長く使える信頼のあるウェアやギアとして、多くのアウトドアシーンにはもちろん、タウンユースでも愛用されて続けています。
なぜメンテナンスが必要不可欠なのか?
Gore-Texウェアは優れた機能性で様々なシーンに適していますが、定期的なメンテナンスを行わないと、撥水性を低下させたり防水・透湿性能が失われる可能性があります。快適さを保つためにも、適切なタイミングでのメンテナンスが必要不可欠です。
機能性が失われる
Gore-Texウェアの機能性は過酷なアウトドア環境でも快適さを保つために欠かせませんが、メンテナンスを怠るとその高い機能性が徐々に失われてしまいます。
Gore-Texは主にアウトドアやスポーツアクティビティに用いられます。そのため表地には雨や泥などの汚れが付着しやすく、この汚れが溜まると撥水機能が落ち、水が染み込みやすくなってしまうのです。撥水性が失われると表面に付着した水が繊維に広がりやすくなり、透湿性の低下に繋がります。その結果、汗をかいた時の蒸れが外に放出されず、内部が湿ったままで不快な着心地となってしまうのです。
また、Gore-Texウェアには内側の縫い目部分に止水テープが貼られており、これには縫い目から水が入り込むのを防ぐ役割があります。着用時に汗や皮脂といった見えない汚れがテープ内側に付着してしまうと、テープの接着力が弱まり、止水テープが剥がれてしまうことも。そうなるとウェア内部へ水が侵入しやすくなり、せっかくの防水機能が損なわれてしまうのです。
こうした汚れの蓄積は見た目には分かりづらいですが、防水性・透湿性・撥水性といったGore-Tex本来の性能を低下させる原因となるため、メンテナンスを怠ることなくケアをすることが大切です。
メンテナンスのタイミングは?
Gore-Texウェアは耐久性に優れており、頻繁にメンテナンスを行っても基本的には問題ありません。しかし、最適な状態を保つためにはタイミングを見極めてケアを行うことが大切です。
まず、最も一般的なタイミングとして「定期的な洗濯」が挙げられます。数回の使用後や一定期間ごとに洗濯することで、汚れや皮脂が溜まらないようにし、防水性・透湿性・撥水性を保つことができます。
次に、「撥水性の低下を感じたとき」もメンテナンスのサインです。雨や水滴が生地表面に広がりやすくなっている場合は、撥水性が落ちている証拠。このような状態を確認したら、洗濯や撥水剤スプレーなどでケアを施し、機能性を回復させましょう。
さらに、「シーズンの変わり目」もケアのタイミングとしておすすめです。特に使用頻度が多い冬季や梅雨のシーズン前後には、メンテナンスを行うことで次のシーズンに向けた準備が整えられます。シーズンの終わりに汚れを落とし、撥水性を回復させてから保管することで、長期間の使用による劣化を防ぎ、次のシーズンでも問題なく着用することができます。
こうしたメンテナンスのタイミングを守ることで、Gore-Texウェアの性能を長く保ち、快適な性能と着心地を維持することができるのです。
Gore-Texのお手入れ方法
Gore-Texの機能性を保ち、長く快適に使用するためには、定期的なお手入れが必要。ここでは「洗濯」「乾燥」「撥水回復」の方法について、GORE社公式がガイダンスしている内容で詳しく解説します。
1. 洗濯
➀まずGore-Tex製品を洗う際は、メーカーやプロダクトごとに推奨している洗濯方法が異なるため、製品に付いている取り扱い表示を確認し、それに従うことが大切です。
➁また、必ずしも単独で洗う必要はなく、汚れが少ない同じ洗濯取り扱い表示があるアウターウェアと一緒に洗うことが可能です。
➂洗剤成分が残ることがあるため、粉末洗剤ではなく液体洗剤の使用がおすすめ。漂白剤や柔軟剤、シミ抜き剤はメンブレーンに悪影響を与えることがあるので避けましょう。
洗濯機での洗い方
➀ファスナーやマジックテープ・フラップをしっかり閉じ、裏返してから洗濯機に入れます。
➁水温は40℃以下のぬるま湯を設定。衣料用液体洗剤を使い、優しく洗えるコースで洗濯します。
➂洗い終わったらしっかりと2回以上すすぎ、洗剤が残らないようにしましょう。
※脱水は長時間行わないように注意します。
手洗いでの洗い方
➀40℃以下のぬるま湯に衣料用液体洗剤を溶かし、優しく押し洗いします。
※もみ洗いは生地を傷めるためNGです。
➁5分ほど押し洗いし、汚れが浮かび出たらすすぎを行います。
➂十分にすすぎ、汚れと洗剤が残らないようしっかりと洗い流します。
➃その後、軽く手で絞って脱水します。
2. 乾燥
洗濯後の乾燥はGore-Texウェアの防水性と透湿性を保つための、非常に重要なプロセスです。
乾燥は至ってシンプルで、吊り干しで自然乾燥させるだけ。乾燥機の使用はNGではありませんが、公式では吊り干しを推奨しています。
※乾燥機を使用することでGore-Texの撥水性と防水性を長持ちさせる方法もあるので後述します。
吊り干しの方法
➀風通しの良い場所で吊り干しします。
➁完全に乾燥するまで自然乾燥させ、Gore-Texのメンブレーンに負担をかけないよう注意します。
※直射日光の当たる場所は避け、日陰でゆっくり乾燥させることで生地を守ります。
3. 撥水回復
実はGore-Texウェアの撥水機能が低下してきた場合、簡単に撥水性を回復させることが可能です。
撥水回復の手順には、乾燥機やアイロンを使った熱処理と市販の撥水剤スプレーを使用する方法があり、どちらもウェアの状態に合わせて選ぶことをおすすめします。
乾燥機での熱処理
乾燥が終わったGore-Texウェアを乾燥機に入れ、温風でさらに熱処理を施します。
乾燥時間はウェアの厚みや状態によりますが、おおよそ20分が目安です。
※完了してもなお撥水機能が弱まっていると感じた場合は、このステップを繰り返します。
アイロンでの熱処理
Gore-Texが完全に乾いたら、アイロンを低温、スチームなしの設定をし、製品の取り扱い表示に従って適切に使用します。
※必ずあて布をしてから、アイロンをかけていきます。これにより表面の撥水機能が再活性化され、水滴が生地に浸透しにくくなります。
市販の撥水剤スプレーを使用する方法
撥水剤を使用する際は、上記の方法同様にGore-Texウェアが乾燥した状態であることを確認します。
ウェアの表面全体に、撥水剤スプレーを均等に吹きかけます。特に袖や肩など、雨水が当たりやすい部分には重点的にスプレーを行います。
スプレー後に、前述した乾燥機を使った方法やアイロンでの熱処理を行うと、より撥水性が高まります。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。せっかくのGore-Texでもメンテナンスを怠ってしまうその高性能が発揮しなくなり、さらには劣化にも繋がってしまいます。改めてメンテナンスの必要性を感じました。Gore-Texのアイテムは決して安い品ではないので、日々のメンテナンスを怠らず高性能を維持しつつ長く愛用していきたいものですね。そしてこの記事をご覧いただいた皆さんのお役に立てれば幸いです。
モードスケープではクリーニングやお直しが必要なものでも、可能な限り良いお値段をおつけできるように吟味しながらお買取りしております。汚れやダメージがあるものでも、リペアを施して販売することも可能ですので一度ご相談ください。 とりあえず値段だけ聞いて検討したいという場合は、LINE査定などで査定額を見積もることも可能です。お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
小川剛司 (MODESCAPE 編集部)
ライター・ファッションモデル。学生時代のアルバイトからファッションの世界へ。大手セレクトショップの販売員、ECスタッフを経て、長年携わったアパレルの経験と知識を活かしWEBライターに。数々のファッションマガジンサイトで執筆を行い、メンズ・レディース問わずおしゃれを発信しています。現在は韓国を拠点にモデル活動しており、更なるファッション知識を探求中! Instagram:@t_t_k_k_s_s