シュプリーム買収でルックスオティカが目指すグローバル市場の新たな領域
LUXOTTICA(ルックスオティカ)は、革新的な製品とサービスを提供し続けることで、アイウェア業界を牽引し続ける世界的な企業です。
一般的には広く名前は知られていませんが、Ray-Ban(レイバン)・Oakley1(オークリー)・Oliver Peoples(オリバーピープルズ)などの独自ブランドを持ち、CHANEL(シャネル)・PRADA(プラダ)・Tiffany & Co.(ティファニー)などファッション業界の一流企業からライセンスを受けたトップブランドまで幅広く取り扱っていることで有名です。2024年にはファッションブランド「supreme(シュプリーム)」を買収したことで、アパレル業界で大きな話題を集めました。
この記事ではルックスオティカの事業概要を知ると共に、ルックスオティカがこれまで行ってきた戦略的な買収と拡大について解説していきます。
ルックスオティカとはどんな企業?
出典 essilorluxottica.com
これから解説していくルックスオティカという会社は、眼鏡について詳しくなければ、知らない方も多いかもしれません。しかし、アイウェア業界では存在感のある企業です。ここでは、まず「ルックスオティカがどのような企業なのか」ということについてチェックして行きましょう。
ルックスオティカの会社概要
ルックスオティカは、イタリアのミラノに拠点を置く世界最大のアイウェア企業です。この企業は、サングラスや眼鏡フレーム、スポーツアイウェア、光学レンズなど、多岐にわたる製品を手掛けています。ルックスオティカの特徴的な点は、先進的な素材と技術を駆使して、機能性とデザイン性を両立させた製品開発に注力していることです。
さらに、ルックスオティカは新興市場への進出を積極的に行っています。特にアジア市場では、中国やインドなどの成長潜在力が高い地域での展開を進めており、世界各国で高いシェアを誇っています。
加えて、ルックスオティカは世界中で知られる多くの著名ブランドを所有しており、ライセンス契約を通じて、多くのファッションブランドのアイウェアを製造しています。VLGARI(ブルガリ)・ARMAN(アルマーニ)・CHANEL・PRADAなど、ハイブランドのアイウェアも手がける企業です。
ルックスオティカは技術力と企業戦略によってシェアを広げ、アイウェア業界で圧倒的な存在感を放っています。
ルックスオティカの歴史
ルックスオティカは、1961年にイタリアのアゴルドで創業者レオナルド・デル・ヴェッキオによって設立されました。26歳の若きレオナルドは、若者に経済的支援を行っていたアゴルドの地で、メガネ部品を製造する工房を立ち上げました。昼間は工房で働き、夜は美術学校で学びながら、彼はルックスオティカの基盤を築いていきました。
やがてレオナルドは部品製造から完成品のメガネ製造へとシフトし、1971年には国際光学博覧会で初の「ルックスオティカ」コレクションを発表しました。このコレクションは高い評価を受け、同社はアイウェアメーカーとしての道を歩み始めました。その後は、買収と契約により、ルックスオティカは町の工房から世界的なアイウェア企業へと成長を遂げ、現在の基盤を築き上げました。
年代 | 出来事 | 目的 |
---|---|---|
1974年 | 卸売業者のScarrone S.p.Aを買収 | 自社製品の直接販売ルートを拡大 |
1981年 | ドイツに子会社を設立 | グローバル企業への成長 |
1988年 | GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)とのライセンス契約(2003年に一旦終了、2013年に再契約) | 視力矯正用具からファッションアクセサリーへと進化 |
1992年 | BROOKS BROTHERS(ブルックスブラザーズ)とのライセンス契約 | 販路の拡大 |
1995年 | Persolペ(ルソール)・LensCrafters(レンズクラフターズ)を買収 | 市場の拡大 |
ルックスオティカの戦略的な買収と拡大
技術力やデザイン性で高い評価を受けているルックスオティカですが、会社を語る上で欠かせないのが「企業戦略」です。会社設立から、販路を拡大し続け、ブランドとのライセンス契約を行うことで、販売ルートの拡大と購買層の強化を行い続けてきました。ここでは、「ルックスオティカがどのように企業を拡大させてきたのか」を見ていきましょう。
グローバルなブランドを所有、ライセンス契約を行う
ルックスオティカの成功の一因として、自社ブランドと高級ブランドのライセンス契約の両方を巧みに活用している点が挙げられます。ルックスオティカは、レイバンやオークリー、オリバーピープルズなどの自社ブランドを保有し、これらのブランドの高い知名度と品質を武器に市場での地位を確立しています。
さらに、プラダやシャネルといった高級ブランドとのライセンス契約を通じて、多様な顧客層に対応する製品ラインを展開してきました。この戦略により、ルックスオティカはファッション性と機能性を兼ね備えたアイウェアを提供し、幅広い市場ニーズに応えることができています。
過去の重要な買収と合併
ルックスオティカは、アイウェア業界での地位を強化し、事業を大幅に拡大するために、戦略的な買収を積極的に行ってきました。まず、サングラスハットやレンズクラフターズといった小売チェーンを買収することで、小売市場におけるプレゼンスを大幅に拡大しました。これにより、直接販売できるルートを強化し、ブランドの認知度と販売チャネルを広げることに成功しました。
1999年には、世界的に有名なサングラスブランドであるレイバンを取得しました。この買収により、ルックスオティカはサングラス市場での地位を確固たるものとし、アイウェア業界におけるリーダーシップを一層強化しました。レイバンの持つブランド価値と広範な顧客層は、ルックスオティカの成長に大きく貢献しました。
さらに、2007年にはスポーツアイウェアのトップブランドであるオークリーを買収しました。オークリーは技術革新とデザインの分野で強みを持ち、この買収によりルックスオティカはスポーツおよびパフォーマンスアイウェア市場における地位を一層強化しました。
そして、フランスのレンズメーカーであるエシロールとの合併により、「エシロールルックスオティカ」が誕生しました。この合併により、ルックスオティカはレンズとフレームの総合的なアイケア事業を行う世界最大の企業となりました。エシロールのレンズ製造技術とルックスオティカのフレームデザイン力を統合することで、高品質でデザイン性が高いアイテムを提供できるようになったのです。
2024年にファッションブランドのsupremeを買収
今年、大きく話題になったのは、ファッションブランドであるsupremeの買収です。ルックスオティカは、2024年にアメリカのアパレル企業VFコーポレーションからシュプリームを買収しました。これまで、様々な高級ブランドとのライセンス契約を結んできた同社にとって、アパレルブランドの買収は初の試みとなります。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
他業種の企業とのパートナーシップやコラボレーションを通じて、アイウェア業界で圧倒的な影響力を持ち続けているルックスオティカ。2024年にsupremeが傘下に入ったことで、今後の両社の躍進、成長が望めることでしょう。今後の動向に期待です。
この記事を書いた人
MODESCAPE
ブランド服専門の買取店モードスケープです。トレンドから過去の名作まで、ワクワクするブランドアイテムを販売・買取しています。ファッションに関する様々な記事・コラムを配信しています。