出典 jp.maxmara.com
「Max Maraのアイコンアイテムとそのデザイナーたちの功績」
ファッション界で名を馳せるMax Mara。その成功の背後には、才能あふれるデザイナーたちの存在があります。今回は、Max Maraのアイコンアイテムと、それを手掛けた二人のデザイナー、アンヌ=マリー・ベレッタとイアン・グリフィスの功績について詳しくご紹介します。彼らのデザイン哲学や、誕生した背景、そしてそれぞれのアイテムが持つ特徴を掘り下げていきます。
2人のデザイナー
1951年に創業されたMax mara。実はこのブランド、公にデザイナーを公開していないことでも知られています。ここではMax Maraのアイコンアイテムを生み出したアンヌ=マリー・ベレッタと、ブランドを長年支え続け、現在ではクリエイティブ・ディレクターを務めるイアン・グリフィスについて解説します。
アンヌ=マリー・ベレッタ
出典 lucasmartinvintage.com
キャリア
1937年、フランス・ジビエ生まれ。ファッション関連の学校を卒業した彼女は「JACQUES GRIFFE」に勤めていた「ロジャー・バウアー」に見出され、ファッション業界でのキャリアを志すようになります。その後、パリへ移住。1950年代にはスペインの著名なデザイナーでありスタイリストの「アントニオ・カスティージョ」のメゾンで働くことになります。
彼は「ココ・シャネル」のスタイリストを務めた経験があり、ブロードウェイとメトロポリタン・オペラハウスで衣装デザイナーとしても活躍。のちにオスカー衣装デザイン賞を受賞する、才能溢れる人物です。そんな彼の元でアンヌ氏は、劇場の衣装デザインを手がけていました。
1965年に「PIERRE D’ALBY」へ移籍。今までの仕事はオートクチュールだけであったことに対し、ここでは初めてプレタポルテの制作に取り組むこととなります。またこの時期に手がけた「RAMOS PORT」でのデザインが大きく評価され、彼女の名は一躍脚光を浴びました。そして、1974年には念願だった自身のブランド「Anne Marie Beretta」を立ち上げます。
その後、彼女のデザイナーキャリアをより強固にしたMax Maraへ入社。ブランドの方針によって、詳細な入社年月は不明ですが、1981年に彼女がデザインした大ヒット作品「101801」をリリースしているので、1974〜81年の間に入社したと考えられます。
デザイン哲学
彼女のクリエイションはとても自由で、常識に囚われない魅力があります。現在では当たり前に感じられるアシンメトリーなシルエットも、彼女の得意とするデザインでした。服の彫刻家や建築家と呼ばれる異名は大胆なデザインを意味しており、立体的な構造のウェアは着ることで、さらなる良さに気付ける楽しさもあります。
Max Maraでは女性の持つ美しさやエレガンスさをモダンに表現。「新作のドレスであっても、似合わなければ思い切って脱ぎ捨てることができる女性のために」という個性的なモットーがあり、大人な女性にフィットした服づくりがされていました。
イアン・グリフィス
出典 wwd.com
キャリア
イギリス出身。ダービーシャーと呼ばれる、美しい自然に囲まれた田舎街で幼少期を過ごしました。高校卒業後はマンチェスターの大学へ。その頃はファッション分野について、特別な興味は持っておらず、建築を学ぶことのできる学科へと進学しました。大学生活を謳歌しながら、ミュージシャンとしても活動しており、衣装を制作するということをきっかけにミシンの使い方を覚えたといいます。
ファッションデザイナーを志す人生の転機となるのが、イギリスの国立大学「ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)」への入学です。実は、大学を首席で卒業した後、この大学へ再び入学し直したのです。なぜなら、当時イギリスの首相であったマーガレット・サッチャー氏が失業者に対し、徴兵を政策する噂があったため。そのことを恐れた彼は学生の身分に戻るべく、再び大学生になったという訳です。
ですが、決して意志は軽くなく、本格的にファッションを学び始めます。デザインの名門として知られるRCAでは当時、Max Maraを主催としたコンクールが開催されていました。そのコンクールで優勝したのがイアン氏であり、1987年の卒業と同時にMax Maraへ入社。デザイナーとしてキャリアを積むことになります。
デザイナーの傍ら、キングストン大学ではファッション学科のディレクターに就任。また、出身校であるRCAで名誉客員教授にも任命されました。現在ではMax Maraのクリエイティブ・ディレクターを務め、デザイナーチームを統括しています。
デザイン哲学
彼がMax Maraで服づくりをする上で、大切にしているのが「女性が気持ちよく過ごせる洋服を作ること」です。至極シンプルであり、とても大事な要素といえます。
人目を気にしてしまったり、動きが制限されるような服ではなく
「朝に服を選び、一日中気分が良いまま過ごすことができる」
そのような服が必要だといいます。
Max Maraの根底には「女性をエンパワーメント(力、権限を与える)する」というミッションがあり、それを着ることで「ベストな自分になれる」を目指しているのです。30年以上Max Maraでのデザインを担当し、リードしている彼だからこそ、そのブランドの世界観を忠実に反映させることができます。
アートからもインスピレーションを受ける彼のデザインには時折、政治的要素が表現されることも。また、彼のクリエイションは「現代における女性がファッションに求めるものの変化」にも、柔軟に対応しています。
アイコンアイテム
Max Maraのアイコンアイテムをご紹介。ブランド黎明期から継続した人気を誇るコートやアーカイブから復刻されたコートもあり、デザイナーのセンスが光ります。
101801
Maxmaraの定番コートと呼ばれる「101801」。現在でも高い人気を誇るこのアイテムは1981年に、アンヌ氏によってデザインされました。カシミヤとヴァージンウールを採用した生地は上質な肌触りが特徴。微かに起毛している表面には薄らと光沢があります。
肩部分にシームがなく、ガウンのようなデザインでややオーバーサイズ気味のシルエット。101801が発売された当時、女性たちが社会進出し、パンツスーツでオフィスへ出社する機会が増えました。そのため、ジャケットの上からでも羽織ることができるようにサイジングされています。
定番カラーはキャメル。その他ネイビーやブラックなど、豊富なカラー展開も魅力です。2024年10月に原宿で開催された「マックスマーラ ジャケットサークル -光り輝く女性たちへ-」では、101801コートのスケッチ画が展示されました。
マニュエラ
1998年に作られたMax Maraのクラシックアイテム「マニュエラ」。101801と同様にゆとりのあるシルエットで、ジャケットの上からでも窮屈感なく着用することが可能です。生地にはラグジュアリーなムードを醸し出すピュアキャメルヘアを採用。この素材はラクダから自然に脱皮されるものを加工しており、サステナブルな生地といえます。
付属のベルトやラペル部分などに施されるステッチは「Max Maraステッチ」とも呼ばれ、ブランドアイコン的なディティール。これらは特別なミシンを使い、一つひとつ丁寧に製作されています。表地にはボタンがなくフラットなデザインですが、襟とウエストの内側にボタンが装飾されており、シルエットを崩すことなく羽織ることができます。オンオフ問わず活躍し、大人な女性を演出してくれるコートです。
テディベア
2013年のコレクションで登場した「テディベア」。特徴的なモコモコとした生地はまさにテディベアのようなフェミニンさがあり、身体全体を優しく包み込む着心地には、多くの人が魅了されます。ボリューミーな見た目からは想像しがたい、驚くほどの軽量さはMax Maraの独自素材のおかげです。
テディベアは元々、1980年代のアーカイブアイテムでした。そのデザインが「現代でも女性たちから受け入れられる」と確信した、イアン氏によって復刻されます。ですが当時、テディベアの生地を製作していたドイツの工場はすでに閉鎖されており、そのノウハウすらも分からなかったそう。
そこで、キャメルヘアを毛羽立たせた素材をイタリアのサプライヤーに依頼することで、リリースへのプロジェクトが進められました。結果、独自素材の開発に成功し、テディベアの復刻が実現されたのです。
オリンピアジャケット
出典 elle.com/jp/
2024FWのブランドキャンペーンに起用されている「オリンピアジャケット」。ギリシャ神話に登場する神様の名前が由来のこのジャケットは「女性をエンパワーメントする」というMax Maraの信念を体現しています。
ピュアキャメルを採用したダブルブレストのジャケット。メンズのテーラードからインスピレーションを受けており、剛健なムードが自立した女性を表現しているといえます。サイズ感はオーバーサイズでゆったりと羽織ることが可能。ストレートシルエットでミニマルなデザインは、さまざまなスタイリングにフィットしてくれます。
ちなみにこのオリンピアジャケットは、10801でも紹介したエキシビジョンでフォーカスされているアイテム。製品を試着できることに加え「このジャケットがどのようにして製作されているのか」がさまざまなバリエーションで展示されており、アート感覚で歴史を知ることができます。このイベントはMax Maraのクラフトマンシップを存分に体感できる、と大盛況のうちに幕を下ろしました。
リュドミラ
「リュドミラ」も元々はアーカイブで、1990年代に復刻されました。現在ではMax Maraのアイコンアイテムとなっています。
襟ぐりにはスリムなテーラードカラーを採用。カジュアル寄りにならず、反対にフォーマル過ぎない絶妙なデザインなので、幅広いシーンで活躍してくれます。イタリア製のピュアカシミヤ100%で作られており、表面には上品な光沢が浮かびます。ラップコートデザインのディティールはマニュエラに似たような印象がありますが、リュドミラは一枚仕立てで製作されており、裏地がなく軽量なのが特徴。そのため、身体に沿うようにしてフィットし、上質な素材を肌で感じることができます。
ジャケットの上から羽織っても余裕のあるキモノスリーブはリラックスなムードに。また、裾に向かうにつれて広がっていくデザインは、ベルトを巻くことでフレアなシルエットにも調節可能。その日の気分によって変化を付けることができます。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。時代を超えて愛され続けるMax Maraのアイコンアイテムと、それを手掛けた二人のデザイナー、アンヌ=マリー・ベレッタとイアン・グリフィスの功績についてご紹介しました。彼らのデザイン哲学や、誕生した背景、そしてそれぞれのアイテムが持つ特徴を掘り下げることで、Max Maraの魅力を再発見できたのではないでしょうか。これからも新しいデザインとともに、これらのアイテムがどのように進化していくのか楽しみにしていきましょう。
モードスケープではMax Maraの買取を強化しています。アイテムの価値を適正に反映し、最高額を見出す査定をいたします。Max Maraのアイテムを売りに出すか迷っている場合にも、是非モードスケープにご相談下さい。とりあえず値段だけ聞いて検討したいという場合は、LINE査定などで査定額を見積もることも可能です。
MAXMARAのお買い取り案内ページはこちら
MODESCAPEでは、MAXMARAの買取を強化しています。MAXMARAのアイコンでもあるウールカシミアコート「101801」や「テディベアコートなど、アイテム一つ一つの価値を理解し適正な査定をいたします。お買い取りをご検討の際は、お気軽にご相談ください。
MAXMARA の買取について
この記事を書いた人
小川剛司 (MODESCAPE 編集部)
ライター・ファッションモデル。学生時代のアルバイトからファッションの世界へ。大手セレクトショップの販売員、ECスタッフを経て、長年携わったアパレルの経験と知識を活かしWEBライターに。数々のファッションマガジンサイトで執筆を行い、メンズ・レディース問わずおしゃれを発信しています。現在は韓国を拠点にモデル活動しており、更なるファッション知識を探求中! Instagram:@t_t_k_k_s_s