大人のドメスティックブランド「NEEDLES(ニードルズ)」とデザイナー「清水慶三」
デザイナー・清水慶三
ニードルズのデザイナーにして、ネペンテスの創設者である清水慶三は、山梨県出身。
出典:http://www.nepenthes.co.jp/
中高生時代からアイビーやアメカジを中心としたインポートファッションに執心し、度々新宿伊勢丹や原宿、渋谷のショップに買い物に来るほど熱を上げた。高校卒業後は、ある服飾専門学校の中退を経て文化服装学院に進み、上京したことでいよいよファッションライフを本格化。
文化服装学院を卒業してからは、インポートシューズに強い卸売会社に入社し、大好きな海外ブランドの靴に囲まれながら頭角を表し、閉鎖が検討されていた店舗の企画・運営も買って出た。Redwood(レッドウッド)というその店は、2017年まで営業を続けた。
レッドウッドでは、当時は完全にスポーツシューズとしての需要しか無かったリーボックを取り扱って成功させたり、スポーツショップにしか卸していなかったナイキのジョーダンをセレクトショップとして初めて展開して完売させるなど、既成概念にとらわれないバイイングやショップ運営で活躍した。
ちなみにレッドウッドでは清水が店長を務め、後にENGINEERED GARMENTS(エンジニアードガーメンツ)のデザイナーとなる鈴木大器が入社し、共にショップ運営を担った。
その後の’88年、青山のセレクトショップを置く場所としては辺鄙な一角に「良い物を置けば場所が悪くてもお客さんが来てくれる」との確信の下、ネペンテスをオープンする。
清水の読みは果たして当たり、アメリカ中の工場やショップ、卸会社から持ち帰ったアイテムを所狭しと並べた店はすぐに人気ショップとなった。
清水のクリエーションをリアルタイムで表現するニードルズ
もともとニードルズは、ネペンテスで紹介するインポート製品の補完的なブランドとして立ち上げたという。
清水がアメリカでの買い付けをしていた当初は、それまで日本では見たことがないようなものを紹介することで成功した。また、アメリカで工場やブランドを回るうち、別注品を仕入れることも増え、オリジナリティを打ち出すことができた。
しかし時代が進むにつれ、インターネットの発達もあり、海外での買い付けは容易になり、ネペンテスのスタイルを模倣するようなことも散見されるようになると、清水はセレクトのみで個性を保つことが難しいと感じるようになる。
そこで、国内で生産していたニードルズを作り込んでいくことを検討。本当に今、自分の中にあるものを表現するために、日本でイチからオリジナル商品を打ち出すことを決意する。
大人になってこそ似合うブランド
ブランドの支持層の中心は、どちらかと言えば30代以降の大人の男性だと推察されるが、ルックにテーラードやスーツスタイルはあまり見受けられない。大人向けのブランドと言えばそうしたアイテムは欠かせないが、ニードルズが発表するルックは、毎度カジュアルであったりストリートウェアを中心にライナップしている。
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代表的なアイテム1「トラックパンツ」
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もはや流行りが浸透しすぎた感すらあるトラックパンツ。
ラッパーのエイサップ・ロッキーがライブや私服で着たり、日本でも人気若手俳優がドラマで衣装として着用したこともあり、ネットのユーズド品市場では定価以上の値段で取り引きされている。ブランドよりも、このトラックパンツの人気が独り歩きしている状態だ。
そういう状態になると大概ファン離れが起こるものだが、そんな影響は関係なくこのパンツの完成度は高く、毎シーズンのルックに登場し、毎度意外性のあるアイテムと合わせてもマッチすることを示している。
代表的アイテム2「ヒザデルパンツ」
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ウエストと膝のダーツが独特のシルエット生み出すヒザデルパンツは、男女問わず人気を得ている。
男臭いブランドイメージがありながら、女性にとっても定番となるアイテムをライナップしているところに、ブランドの懐の深さを感じる。
こちらも中古品市場でも、状態の良いものであれば定価とそれほど変わりない値段で取り引きされている。
代表的アイテム3「サムエジャケット」
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その名の通り、日本の伝統的な作業着である「作務衣」がモチーフとなったジャケット。
毎シーズン素材を変えてリリースされるブランドの定番で、同様の型のコートもある。
絶妙なリラックス感が演出できるジャケットで、いくつになっても、いや、むしろ歳を重ねてからのほうが似合うアイテムだろう。
代表的アイテム4「REBUILD BY NEEDLESの再構築ネルシャツ」
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清水慶三の知識やアイディアと、ブランドが蓄積した技術が遺憾なく発揮される「Rebuild by NEEDLES(リビルドバイニードルズ)」。
世界中のユーズド品を集め、解体し、再構築することで生み出されるアイテムは、一つとして同じものがない一点物だ。
なかでも再構築のネルシャツは、シーズン毎に異なる独特の切り替えパターンなど、他のブランドでは決して見ない雰囲気が魅力を放つ。
大人なったらニードルス
ご紹介したアイテムを始めとして、ニードルズのアイテムはどれも“他にはない”感じがある。しかし、それでいながらどれもベーシックな服の雰囲気もあって、日常着として非常に優秀だ。
大人なると毎日の服にかける労力がどうしても減ってしまうものだが、ニードルズの服は、毎日なんとなく身につけてしまうような力の抜け具合なのに、なんとなく着ていると個性が出る。
気負わず着られるのに個性的。
服としての最重要な二つの機能を兼ね備えたニードルズの服が、長く多くの支持を集め続ける理由が表れている。
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MODESCAPE
ブランド服専門の買取店モードスケープです。トレンドから過去の名作まで、ワクワクするブランドアイテムを販売・買取しています。ファッションに関する様々な記事・コラムを配信しています。