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進化し続ける中綿:高機能素材の種類とその特性

2025年1月22日

進化し続ける中綿:高機能素材の種類とその特性

進化し続ける中綿:高機能素材の種類とその特性

寒い季節がやってくると、暖かさと快適さを求めてさまざまな防寒着を手に取りますよね。代表例としてダウンがありますが、年々進化し続け今やダウンにも劣らない性能を持つのが中綿。軽量でありながら高い保温性を持ち、私たちの日常生活やアウトドア活動に欠かせない存在です。

この記事では、中綿素材の歴史や特徴、そしてケア方法について詳しく解説します。中綿素材の選び方やメンテナンスについての知識を深め、最適な防寒着を選ぶための参考にしてください。

中綿について

中綿素材は保温性や軽量性に優れた防寒素材で、ダウンの代替や補完として広く利用されています。湿気に強く、速乾性やケアの簡単さが特徴。アウトドアウェアや日常の防寒着に欠かせない存在です。

歴史

中綿素材の歴史は、ダウンが防寒素材として主流だった時代から始まります。軽量で高い保温性を持つダウンは、長らくアウターウェアや寝袋に使用されてきました。しかし、湿気に弱く、水に濡れると保温性能が著しく低下するという問題点も抱えていました。この欠点を補うため、1970年代以降、高機能な化学繊維による中綿素材が開発されていくことになります。

最初期の中綿素材はダウンに近い保温性を目指して作られたもので、代表例としてプリマロフトが挙げられます。米軍が寒冷地用の装備として求めた素材で、湿気に強く濡れても保温性を維持することが大きな利点でした。過酷な環境下での使用に適しているため、次第にアウトドア市場にも広がって行きます。

その後、ポーラテックアルファやクライマシールドといった次世代の中綿素材が登場。速乾性が高く、軽量で耐久性にも優れていることから、日常使いや本格的なアウトドアまで、幅広い用途に対応しました。加えて、洗濯やメンテナンスが簡単であるため、現代のライフスタイルにも適しているといえるでしょう。機能性の進化により、中綿は徐々に普及していきました。

天然素材と化学繊維

天然素材のダウンと化学繊維を使った中綿素材には、それぞれのメリット・デメリットがいくつか挙げられます。

ダウンは水鳥の羽毛から採取される天然素材で、非常に高い保温性と軽量性が特徴です。ですが、濡れると空気を保持することができなくなってしまうため、保温性が低下します。そのため、雨や雪などの環境下では性能を発揮しにくい点はデメリットといえるでしょう。

ダウン

一方、化学繊維の中綿素材はダウンに似た保温性を持ちながら、湿気や水に強い点が大きなメリットです。透湿性に優れているため、汗をかいてもウェア内部が蒸れないという特徴も。汗をかきやすいスポーツシーンやアウトドアアクティビティの際には重宝するでしょう。さらに、自宅でのケアも可能としており、洗濯機で洗える中綿素材もあります。

中綿

ダウンとは違って動物由来でないため、SDGsの観点から支持されているのも事実です。デメリットとしてはダウンと比べるとやや重く、同じ保温性を得るために厚みが必要となる場合があります。総合的な比較として、寒冷地での保温性が求められる場合はより温かなダウンが適しているといえます。

しかし、濡れる可能性がある環境や汗をかきやすいアクティビティ、また頻繁な洗濯や手入れが必要な場合には、中綿素材の方が優れているといえます。このように、ダウンと中綿素材は環境や用途に応じて選ぶことが重要です。


高機能中綿の種類

プリマロフトやシンサレート、エアロゲルなどは高機能中綿素材として有名です。高い保温性、軽量性、通気性を備えており、アウトドアや日常の防寒着として広く活用されています。

プリマロフト(PrimaLoft)

PrimaLoft

プリマロフトは1983年にアメリカ軍の要請を受けてALBANY社が開発した高機能中綿素材。「寒冷地用の防寒ジャケット」としても使用されており、その優れた機能性が評価されています。

超微細なマイクロファイバーで作られており、軽さや保温性・通気性など、化学繊維らしい多機能性を完備。プリマロフトはダウンジャケットのように軽くて暖かい保温性を発揮するだけでなく、水に強い撥水性も持ち合わせています。

これにより、ダウンの弱点である「濡れると保温性が弱くなる」点を克服し、濡れた状態でも暖かさをキープすることが可能。洗濯機洗いすることができ、自宅でも簡単にケアできる素材として注目されています。現在では、アウトドアブランドのアウターなどで広く採用されており、ダウンの代替素材として人気を博しています。

シンサレート(Thinsulate)

Thinsulate

シンサレートはアメリカに本社を置き、化学製品などを製造する「3M」社によって開発されました。薄いという意味の「Thin(シン)」と断熱する「Insulate(インサレート)」を合わせた言葉で、薄くて暖かい機能性を発揮します。

1979年に登場し、1980年代からは日本でも取り扱いが広がります。冬季オリンピックのスキー公式ウェアとしても採用されており、防寒性には申し分ありません。現在では機能別に10種類以上ものシンサレートが存在しており、その用途は多岐に渡ります。

暖かい分、シルエットに厚みが出てしまうダウンジャケットと比べると、スッキリとした印象のあるシンサレートの中綿ジャケット。そのため、アウトドアシーンでのミドルレイヤーとしても活躍します。

また、シンサレートは吸汗性に優れているため、ブランケットやシーツに使用されることも。快適な睡眠を実現してくれる寝具としても定評があります。

サーモライト(Thermolite)

Thermolite

コーデュラナイロンで有名な「DUPONT」社(現在はINVISTA社が買収)が開発したサーモライト。特徴は繊維1本1本の中心を空洞にした、中空ポリエステル繊維です。

内側の温まった空気は逃さず、冷気を遮断する繊維構造は、保温性を高めるといった効果があります。中空ポリエステル繊維によって通気性も生まれるため、汗をかいても蒸れにくく、快適な着心地が得られます。

さらに、繊維が空洞なので、重量が軽くなるのもポイント。ダウンジャケットの弱点を克服しながらも、限りなくダウンジャケットに近い中綿ジャケットといえます。

サーモライトには「エコメイド」という種類があり、リサイクル資源を100%用いて作られています。従来のサーモライトと変わらない機能性をそのままに、環境に配慮したファブリックです。

コアロフト(Coreloft)

Coreloft

コアロフトは、2000年代に「Arc’teryx」が独自開発した中綿素材です。太さの異なる2種類のポリエステルファイバーをコイル状に加工。それらを掛け合わせることで、暖かい空気を蓄える空間構造を作り出し、高い保温性が生まれます。この構造は中綿ジャケットにボリュームを与えるため、ふっくらとしたハリ感のあるシルエットに。また、繊維はシリコンでコーティングされているので、水を吸収しずらく乾きやすいという特徴もあります。

コアロフトを使用したジャケットとして挙げられるのは「Atom」シリーズです。Arc’teryxで働く多くの社員が所有しているそうで、ブランドのアイコンアイテムといえるでしょう。アウターとしてメインで着用したり、インナーとしてレイヤーに使ったりと、幅広い用途で活躍。トレイルアクティビティのウェアとして採用されることが多く、簡単に体温調整できる点が重宝されています。

Atomに関しては下記のページで詳しく解説しています。

「Atom」がARC’TERYXの代名詞的存在として君臨するワケとは?

ポーラテック・アルファ(Polartec Alpha)

Polartec Alpha

フリースを代表する、大手ファブリックメーカー「POLARTEC」社が2012年にリリースしたポーラテック・アルファ。アルファの名称は米軍特殊部隊に由来しており、米軍からの依頼に基づいて製作された経緯があります。そのため高性能の中綿素材と謳われており、アクティビティでの着用やタウンユースに、申し分のない機能性を発揮します。

ポーラテック・アルファの最大の特徴は、優れた通気性です。従来の保温性が高いジャケットでは「運動時に体温がこもりすぎて暑くなること」がありました。

しかし、ポーラテック・アルファは体温の調節を行い、快適な状態を保ちます。この機能は「アクティブインサレーション」と呼ばれ、ウェア内部の温度が過度に上昇するのを防ぐ役割があります。さらに、優れた速乾性により、素早くドライな肌触りを維持。2017年には裏地を持たない「ポーラテック・アルファ・ダイレクト」も開発され、さらなる快適性を追求しています。

クライマシールド(Climashield)

Climashield

クライマシールドはアメリカ・テネシー州に拠点を置くメーカー「Harvest Consumer Insulation, LLC」社が製造する高性能中綿素材。30年以上にも渡り米軍でも採用されており、プリマロフトに次ぐ中綿素材として注目を集めています。

クライマシールドはダウンに匹敵するほどの温かさをもっており、優れた保温性は長繊維フィラメント糸を用いた独自の製法技術によって実現されています。極寒な環境下にも耐えられることに加えて、ウェア内部をドライな着心地に保つ、高水準な透湿性。湿気を適度に逃してくれるため、温かくなりすぎず、蒸れにくい点が特徴です。

また、強い引っ張りに耐える耐久性も備わっており、日常使いには十分なクオリティといえるでしょう。中綿の偏りも起こしにくく、長期間の使用や頻繁に洗濯をしても、形状や品質を維持します。これらの特性により、クライマシールドはアウターとしてでなく、寝袋やテント・手袋・フットウェアなど、保温性と耐久性が求められる多様な製品に採用されています。

エアロゲル(Aerogel)

Aerogel

エアロゲルは1931年に「スティーブン・キスラー」によって発明された物質です。個体の煙ともいわれており、成分の90%以上が空気で構成されています。いくつもの小部屋の中に空気を詰め込んだような構造をしており、この特性が断熱材としての機能を発揮します。地球上の物質で最も優れた断熱材とされるエアロゲルを中綿ジャケットに用いたものは「エアロゲルインサレーション」とも呼ばれています。

エアロゲルは空気の対流が少なく、熱伝導率がとても低いので、温かさを左右する「デッドエア」の確保に優れている点が特徴です。そのため、薄い中綿ジャケットでも十分な保温性を発揮。密度が低いため、ジャケット全体も軽量化でき、持ち運びや長時間の着用でも快適です。密度の低さは湿気を吸い込みにくいというメリットもあり、濡れても保温性が損なわれません。この特性は雨や雪が降る環境下で、特に役立つといえるでしょう。

宇宙服にも使われているエアロゲルは、断熱性、軽量性、さらに宇宙空間での保温性を兼ね備えた秀逸な素材です。さまざまなブランドがこの技術を採用して中綿ジャケットを製作しており、アウトドアシーンのアウターやブランケットなど、幅広い用途に活用されています。

素材名 主な特徴
プリマロフト 1983年、ALBANY社が開発。
軽量で高い保温性。水に強く、濡れても暖かさを維持。
アウトドアウェアやタウンユースのアウターとして幅広く展開。
シンサレート 1979年、3M社が開発。
薄くて暖かい。吸汗性に優れ、スッキリとしたシルエット。
用途に応じた多種類が展開。寝具にも採用されている。
サーモライト DUPONT(現INVISTA)社が開発。
中空ポリエステル繊維で軽量、保温性と通気性を両立。リサイクル素材を使用した環境に優しいモデル「エコメイド」もあり。
コアロフト 2000年代、Arc’teryxが開発。
Arc’teryx独自の中綿素材。太さの異なる繊維で構成され、高い保温性と速乾性。ふっくらとしたシルエットが特徴。
代表モデル「Atom」シリーズ。
ポーラテック・アルファ 2012年、POLARTEC社が開発。
通気性が高く、体温調整が可能なアクティブインサレーション。
速乾性にも優れ、裏地のないモデル「ポーラテック・アルファ・ダイレクト」も展開。
クライマシールド Harvest Consumer Insulation社が開発。
高い保温性と透湿性。耐久性が高く、中綿の偏りを防止。濡れや洗濯にも強い。
寝袋・テント・手袋・フットウェアなど、使用用途は多岐にわたる。
エアロゲル 1931年、スティーブン・キスラーが開発。
超軽量で高断熱性。濡れても性能が落ちず、高い保温性を維持。
中綿ジャケットやブランケットに加え、宇宙服にも採用されている。

中綿素材のケア方法

中綿素材のケア方法

ダウンは手洗いや専用の洗剤が必要な場合が多いですが、中綿素材は自宅での手洗い洗濯が可能。中には洗濯機で洗えるものあります。ただし、製品についている品質表示タグは必ず確認し、推奨する洗濯方法に従いましょう。

洗濯方法

手洗いの場合

たらいや浴槽にぬるま湯を用意し、専用洗剤または中性洗剤を溶かします。
その中に中綿素材を入れ、押し洗いをします。
汚れが気になる部分があれば、スポンジや柔らかい布を使い、優しくこすって落としましょう。
漂白剤や柔軟剤は繊維を劣化させてしまう可能性があるため、使用しないことをおすすめします。
手洗いが終わったら、タオルにくるみ水気を取り除きます。

洗濯機を使用する場合

洗濯ネットを使用して洗いましょう。このとき、衣類を裏返してから洗濯ネットに入れることで、生地の摩擦や傷みを防ぎます。
洗剤は手洗い時と同様に、中性のものを選びます。
洗濯機の設定は「弱水流」や「デリケート洗い」などの優しいモードで洗濯します。

洗剤が残ると中綿が固まったり、素材に悪影響を与える場合があるため、すすぎはしっかりと行いましょう。
その後、脱水モードを短時間使用して、水気を軽く切ります。中綿素材を痛めないために長時間の脱水は避けたほうが良いでしょう。

乾燥方法

乾燥は保温性や形状を維持するために非常に重要なステップ。中綿素材はダウンと異なり、乾燥が早く手間も少ないのが特徴です。

洗濯が終わったら、直射日光を避けて、風通しの良い日陰で平干しします。
ハンガーにかけると中綿が偏る恐れがあるため、平らな場所で形を整えながら乾かすのがベストです。
中綿が湿ったままでは保温性能が低下したりカビが発生するケースもあるため、完全に乾いていることを確認しましょう。
中綿素材によっては乾燥機の使用も可能。その場合は低温モードに設定します。

保管方法

適切な保管方法を取ることで、中綿素材の劣化を防ぎ、次のシーズンも快適に使用できます。

中綿素材はその特性から、嵩張る傾向がありますが、圧縮袋を使って極端に圧縮したり、収納袋を利用して折りたたんで収納することは避けましょう。
中綿が潰れた状態で長期間保管すると、ボリューム感が失われる可能性があります。


まとめ

最後までご覧いただきありがとうございます。中綿素材の歴史的な背景や各素材の特徴を理解することで、より適切な選択ができるようになります。また、適切なケア方法を知ることで、中綿素材の性能を最大限に引き出し、長く愛用することができます。これからの寒い季節に向けて、最適な中綿素材を選び、快適で暖かい日々を過ごしましょう。

この記事を書いた人

MODESCAPE

ブランド服専門の買取店モードスケープです。トレンドから過去の名作まで、ワクワクするブランドアイテムを販売・買取しています。ファッションに関する様々な記事・コラムを配信しています。

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