「神の繊維」ビキューナとは:世界で最も贅沢な自然素材の魅力
ビキューナは世界で最も高価で贅沢な獣毛繊維の一つとして知られています。なんとビキューナ100%のコートで300万円以上の価格。限られた高級ファッションブランドしかビキューナ素材を取り扱っておらず、世界中のセレブリティや貴族たちの御用達の素材です。
この記事では、なぜビキューナは希少価値がここまで高いのか、そしてビキューナの特徴やお手入れ方法などの基本知識を解説していきます。
「神の繊維」と呼ばれるビキューナとは
「神の繊維」と称されるビキューナは、世界で最も希少で高価な繊維として名高い存在です。その希少性ゆえに、かつては王侯貴族だけが手にすることができた贅沢な素材でした。現代でもビキューナは、最高級のファッションアイテムに使用され、その美しさと着心地は他の素材とは一線を画しています。ここでは、「ビキューナとはどのようなものなのか」見ていきましょう。
そもそもビキューナとはどんな動物
出典 kuodatravel.com
ビキューナは、アンデス山脈の標高4000メートル以上の過酷な環境に生息する動物であり、アルパカやラマと同じラクダ科に属します。そのエレガントで気品ある姿から「アンデスの女王」と称され、ペルーの国章にも描かれるなど、南米の高地文化において非常に重要な存在です。
ビキューナはアルパカやラマ、そしてグアナコといった他のラクダ科動物と近縁ですが、乱獲により絶滅危惧種に指定されるほど希少な動物です。ビキューナの毛は、世界でも最も高級な素材の一つとして評価され、その希少性と品質から高値で取引されています。
獣毛素材のなかでもトップクラスの希少価値
ビキューナの毛は、その繊細さと滑らかさを非常に高く評価されており、原毛の価格は1キログラムあたり数十万円にも達します。この価格は、ビキューナの生息環境や保護状況によるものでもあります。1960年代にはビキューナの毛に対する需要が急増し、過剰な狩猟が行われました。個体数は急激に減少したことを受けて、ペルー政府は保護プログラムを導入し、現在ではビキューナの剪毛作業にも厳格なルールが定められています。
具体的には、1回の剪毛作業は5分以内で終わらせる必要があり、各個体については2年に1度しか行うことができません。また、1頭のビキューナから得られる毛の量は200〜300グラムと非常に少ないため、その希少性がさらに増しています。保護活動の成功により、ビキューナの個体数は回復しつつありますが、依然として厳重に管理されており、その希少価値は今後も変わらないでしょう。このような背景から、ビキューナは超高級素材として認知され続けています。
ビキューナ繊維の特徴
ビキューナ繊維は、繊維の中でも極めて特別な存在です。その特徴は、何よりもその繊細さと柔らかさにあります。肌に触れるとまるで空気のような軽さと滑らかさを感じさせ、優れた保温性と通気性を兼ね備えています。ビキューナ繊維が、世界中のラグジュアリーブランドに愛され続ける理由に迫っていきましょう。
他の獣毛素材を凌駕する使い心地
ビキューナは、希少性だけでなく、使い心地でも他に類を見ない魅力を持つ素材です。ビキューナの毛は長繊維であり、30mmほどの長さがあります。そして、平均直径が約12ミクロンと、カシミヤよりも細く、そのため肌に触れたときの柔らかさは格別です。この極細の繊維は、まるで空気のように軽く、まとうとまさに第二の肌のような感覚を与えてくれます。
また、ビキューナは自然な金色がかった栗色の美しい色合いを持ち、染色を施さずそのまま使用されることが多いです。そのため、製品はビキューナ特有の自然の美しさを最大限に生かしたものとなります。
さらに、ビキューナは優れた保温性と通気性を兼ね備えており、寒冷な環境でも快適に過ごすことができます。アンデスの過酷な自然環境に適応したビキューナの毛は、極寒の中でも温かさを保ちながら、同時に通気性を確保しているため、熱がこもらず快適なのです。
他の獣毛素材との比較
素材 | 特徴 | 繊維の太さ | 価格 |
---|---|---|---|
ビキューナ | 非常に軽量で柔らかい。優れた保温性と通気性。非常に高価で希少。 | 約12ミクロン | 非常に高価で希少 |
カシミヤ | 非常に柔らかく滑らか。優れた保温性。 | 約15~19ミクロン | 高価だがビキューナほどではない。価格帯は広範囲。 |
アルパカ | 丈夫で耐久性が高い。カシミヤよりも重く、保温性に優れる。22色異常の多様な自然色。 | 約18-25ミクロン(アルパカの種類により異なる) | カシミヤよりも手頃。 |
メリノウール | 柔らかくて肌触りが良い。多用途で日常使いに適する。高い保温性と吸湿性。 | 約18~24ミクロン | 比較的手頃。 |
ビキューナ繊維の利用方法
ビキューナ繊維は、その希少性と卓越した品質から、ファッション界で極めて高い評価を受けており、主にコート、スカーフ、セーターといった高級アイテムに用いられています。ビキューナの毛は非常に柔らかく、軽量で保温性が高いため、寒冷な気候でも快適に着用できることが特長です。こうした特性を最大限に生かした製品は、世界の名だたる高級ブランドであるロロ・ピアーナ(Loro Piana)、ブルネロ・クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)、エルメス(HERMÈS)、ザ・ロウ(THE ROW)などによって製造されています。これらのブランドが手がけるビキューナ製品は、最高級のファッションアイテムとして広く知られています。
例えば、ビキューナ100%のスカーフは20万円以上の価格がつけられ、コートやスーツになると300万円以上に達することも珍しくありません。また、アルマーニが手がけたビキューナのコートは、過去に650万円程で販売されたことがあり、その価値の高さがうかがえます。多くの場合、ビキューナはカシミヤと混紡して使われることが多いですが、それでも価格は非常に高く、スーツの場合でも50万円以上の価格となります。こうしたビキューナ繊維を使った製品は、ラグジュアリーで洗練された印象を与えるだけでなく、着心地の良さと耐久性も兼ね備えており、まさに一生物のアイテムとして愛用され続けています。
ビキューナ繊維が使用されているアイテム
ビキューナが使われている代表的なアイテムには、コート・ストール・ニットなどがあります。温かくて軽いビキューナは、冬の定番アイテムにぴったりの素材です。柔らかく、触り心地の良さが実感できるアイテムで取り入れると良いでしょう。
最高級素材を取り扱うロロ・ピアーナでは、
コート¥3,653,100(税込) で販売されています。 ビキューナ製品は、美しさと機能性を保つために、特別なケアが求められます。繊細な繊維であるビキューナは、適切なお手入れを行うことで、柔らかさや輝きを長く維持することができるのです。ここではビキューナの特性を生かし、魅力を長く楽しむための具体的なお手入れ方法を詳しくご紹介します。 ビキューナ製品は、その繊細さと美しさを保つために、特別な取り扱いが必要です。まず、非常にデリケートな繊維であるため、引っかかりや摩擦を避けることが重要です。着用後には必ずブラッシングを行い、毛乱れを防ぎましょう。 保管時には、直射日光や湿気を避け、通気性のある布カバーを使用して涼しく乾燥した場所に置くことが理想的です。また、ビキューナ繊維は虫害に弱いため、防虫剤を使用する際には素材に直接触れないように注意し、防虫対策を怠らないようにしましょう。ビキューナ製品を長く愛用するためには、このような細やかなケアが欠かせません。 ビキューナ製品は非常にデリケートなため、クリーニングには特別な注意が必要です。ビキューナ繊維は長い毛足を持ち、塵や不純物が繊維の目に詰まりやすいため、これらを取り除くことで生地の変色を防ぐことができます。ブラッシングには、毛足が長く柔らかいブラシを使用し、力任せに行わないように注意します。特に、撚りの少ない甘撚りのビキューナ生地は、繊細で摩擦に弱いため、優しく丁寧にブラッシングすることが必要です。
ニット¥713,900(税込)
スカーフ¥732,600(税込)ビキューナのお手入れ方法
基本的な取り扱い方法
クリーニング
また、シワが気になる場合は、スチームを使用することができますが、その際にはスチームノズルとビキューナ素材の間に少し距離を保ち、直接当てないようにしましょう。これにより、繊維を傷めずにシワを取ることができます。
もし汚れやシミがついてしまった場合、無理に家庭で取ろうとせず、必ず専門のクリーニング店に相談してください。ビキューナは非常に繊細な素材であり、適切な処置を施さないと、繊維が損傷する恐れがあります。クリーニングを依頼する際は、石油系の溶剤を使用し、タンブラー乾燥を避けたデラックスなドライクリーニングを選ぶようにしましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
ビキューナ繊維はその希少性、高品質、保温性、通気性など多くの魅力を持つ素材です。ビキューナ製品に触れる機会があれば手に取ってその素晴らしさを体感していただきたいと思います。この記事を通じて、ビキューナの魅力と価値を再知ってていただければ幸いです。
この記事を書いた人
MODESCAPE
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