visvimデザイナー 「ファッション界の文化人類学者」中村ヒロキとは
世界の伝統技術と、現代の先端技術を掛け合わせたアイテムが魅力の日本のファッションブランドvisvim。
デザイナーの中村ヒロキさんの服作りへのこだわりは並々ならぬ物で、新しいアイテムを発表する度に、公式サイトで論文を発表するほど。日本だけでなく海外からも高い評価を受けるデザイナーとして知られています。
この記事では、visvimのブランド紹介とともに、中村ヒロキさんが衣服に込めた思いを紐解いていきます。
visvimとは
アルチザン系ブランドのひとつと言われるvisvim。職人を意味するアルチザンという単語が使われているように、生地から製造方法までこだわりぬいて作られたアイテムが揃っています。デザイナーである中村ヒロキは、織物に関する論文を発表したこともあるほど、服を作る過程に信念を持っています。
ここでは、まずvisvimというブランドについて、デザイナーである中村ヒロキに焦点を当ててチェックしていきます。
visvimのブランド概要
visvimは2001年に設立された日本のファッションブランドで、コンセプトは「普遍的な美しさ」と「後世に残るモノ作り」を追求することにあります。創業者の中村ヒロキは、アイテムを通じて「自分らしさを大切に生きる」ことを提唱しています。ブランドは元々シューズブランドとしてスタートし、高品質で斬新なデザインが多くのファンを魅了しましたが、現在ではウェアやアクセサリーを含むトータルウェアを手掛けるまでになっています。
visvimの特徴は、世界各国の伝統技術を取り入れたアイテム作りにあります。例えば、日本の藍染やアメリカのヴィンテージファブリックなど、各地の伝統的な技法を取り入れることで、なつかしさがありながらも洗練されたシンプルなデザインに仕上げています。どのアイテムにも深いストーリーと価値が宿り、唯一無二の存在感を放っています。
ブランドの展開ラインには、女性向けのウィメンズライン「WMV」や、スポーツ・アウトドア系の「VISVIM SPORT」が含まれます。WMVはエレガントでありながら日常使いに適したアイテムを提供し、VISVIM SPORTは機能性とファッション性を兼ね備えたアイテムを展開しています。 このようなvisvimの取り組みは、国内外で高い評価を得ており、ニューヨークやパリなどのファッションの中心地でもその名が知られています。多くのファッション愛好者や業界関係者から支持を集め、著名なアーティストやセレブリティもvisvimのファンとなっています。
「ファッション界の文化人類学者」中村ヒロキ
出典 fashion-headline.com
中村ヒロキは1971年生まれの日本のデザイナーで、ファッション界では「文化人類学者」として知られています。彼のキャリアは、スノーボードブランドで有名なバートンジャパンでの勤務から始まりました。プロのスノーボーダーを目指すほどの腕前を持ちながらも、29歳の時にシューズブランド「visvim」を創設し、デザイナーとしての道を歩み始めました。visvimは、後にトータルウェアブランドとして成長し、彼のデザインは世界中で高く評価されるようになりました。
中村ヒロキのファッションへの道には、幼少期の影響が関わっています。母親と叔父がファッション好きであったことから、小学生の頃からファッションに対する関心を深めていきました。また、アウトドアカルチャーやアメリカンカルチャーにも強い影響を受けており、彼のデザインに色濃く反映されています。彼は10代の頃からアラスカをはじめとする様々な地域を旅行し、各地の伝統技術や文化を学びました。この経験が、彼のデザインにおける独自性と深みを生み出す要因となっています。
デザイナーとしての中村ヒロキの功績は多岐にわたります。彼の作品は、伝統的な技術と現代的なデザインを巧みに融合させており、そのどれもが高度な職人技によって支えられています。日本が世界に誇るアルチザン系デザイナーとして、その独創的なアプローチと高品質なモノづくりは、業界内外から絶大な支持を受けています。彼のデザインは、単なるファッションアイテムとしてだけでなく、一つ一つにストーリーと深い価値を持たせることで、多くの人々の心を惹きつけています。
さらに、中村ヒロキのこだわりは、細部に至るまでの徹底した品質管理と、伝統技術に対するリスペクトにあります。次の章からは中村ヒロキの服作りへのこだわりについて見ていきます。
中村ヒロキの服づくりへのこだわり
中村ヒロキが作る洋服には個性があり、visvimのアイテムはそのオリジナリティを高く評価されています。それは、中村ヒロキが洋服の製造方法に着目し、生地の原料からこだわって作っているからです。また、シーズン毎に世界各国の伝統技術を用いたアイテムを展開するなど、伝統とモダンを組み合わせたデザインを多く発表しています。
ここでは、中村ヒロキの服作りへのこだわりを通して、visvimをチェックしていきましょう。
世界の民族衣装を現代にアップデート
中村ヒロキは、visvimのデザイナーとして「世界の民族衣装を現代にアップデートする」ことに情熱を注いでいます。彼のデザインは、アメリカンカジュアルを基盤にしつつ、アメリカ先住民のモカシンやブランケット、江戸時代の着物など、各国の伝統衣装からインスピレーションを得ています。手書きのペイントや、服や靴を土に埋めて泥で染めるなど、伝統技術を重んじた手法を用いることで、独自の風合いとストーリーを持つアイテムを生み出しています。このようにして、中村は過去の技術を現代のライフスタイルに適応させ、美しさと機能性を兼ね備えたアイテムを製作しているのです。
厳選した素材・技術
中村ヒロキは、visvimのデザイナーとして厳選した素材と技術に強いこだわりを持っています。例えば、極めて長い繊維を持つ超長綿「シーアイランドコットン」や、フリースの原点に立ち返った「パイル織物」など、高品質な素材を使用しています。アイテムの風合いや手触りに大きく関係する生地の根本である糸にこだわり、糸の素材や繊維の長さや太さ、撚り方にも着目しています。ひとつの糸から無限ともいえる選択肢を検証して、ひとつの生地を作り上げているため、visvimのアイテムは独特の風合いと高い耐久性を兼ね備えることができるのです。
伝統的な染色技術
出典 visvim.tv
中村ヒロキは、伝統的な染色技術に強いこだわりを持っています。彼の服作りの過程で、日本でデニムを開発していた際に、唯一無二の色合いや風合いを持つ天然染料に深い興味を抱きました。そこから、本藍染めや泥染めなどの伝統的な染色技術を学び、それらを現代の技術と組み合わせることで、独自の染色方法を生み出しました。日本で古くから行われてきた藍を用いたかせ染めを取り入れたり、中国の少数民族であるプイ族に古くから伝わる藍染を用いた生地を依頼したりと、様々な染色技術を活かしたアイテムを作り上げています。
伝統的な染色技術を用いることで、visvimのアイテムは独特の色彩とテクスチャーを持ち、他にはない個性的な魅力を放っています。
visvimの定番・人気アイテム
ここからはvisvimのアイテムをチェックしていきます。これまで紹介してきた、染色技術や素材、デザインのルーツについても解説しています。
FBTモカシン
visvimの人気アイテム「FBTモカシン」は、デザイナー中村ヒロキの17歳が頃に出会ったネイティブアメリカンのモカシンに触発されています。その機能性と美しさに魅了された中村は、足全体を包み込むユニークな構造と、履き込むことで柔らかくなるエルクレザーの魅力を現代に再現しようとしました。FBTモカシンは、伝統的なモカシンのデザインとスニーカーソールを融合させた革新的なアイテムです。この組み合わせは当時非常に斬新で、軽くて履き心地が良いという特性が多くのファッション愛好者に支持されました。
FBTの名称は、80年代のイギリスのバンドFun Boy Threeに由来しています。藤原ヒロシのアドバイスを受けて、彼らが履きそうな靴を作るというコンセプトから生まれました。このような背景から、FBTモカシンはvisvimの初期からの代表作として位置づけられ、今でも高い人気を誇っています。伝統技術と現代的なデザインを融合させたこのシューズは、まさに中村ヒロキのデザイン哲学を体現した一足です。
Social Sculpture Denim
visvimの「Social Sculpture Denim」は、デザイナー中村ヒロキが愛するデニムへの情熱から生まれたアイテムです。ヴィンテージデニムにインスパイアされながらも、単なる模倣ではなく、現代のライフスタイルに合うように再設計されています。このデニムは糸の段階からこだわり抜かれ、旧式の織り機で織られています。さらに、昔ながらのロープ染色を採用し、深みのある色合いと風合いを実現しています。
素材としては、カラーや糸、リベット、ボタン、2色のステッチ糸、そして本藍染の鹿革パッチまで細部に至るまで厳選されています。それぞれのパーツには明確な目的があり、「意味」を形にしたデニムと中村氏も語っています。visvimのSocial Sculpture Denimは、デニムの歴史と技術を現代にアップデートし、唯一無二の存在感を放つ一品として、多くのファッション愛好者から支持を集めています。
KERCHIEF DOWN JKT
visvimの「KERCHIEF DOWN JKT」は、70年代から80年代のヴィンテージバンダナを素材に使用した独特なダウンジャケットです。このアイテムは、中村ヒロキのデザイン哲学が凝縮されたもので、ヴィンテージ素材の持つ味わい深さと機能性を兼ね備えています。バンダナの素材は年々入手が難しくなり、生産数も限られていますが、その希少性がさらに価値を高めています。
このダウンジャケットは、バンダナ素材特有の風合いと色合いが特徴で、ヴィンテージならではの独特な雰囲気を醸し出しています。素材調達の難しさから、現在ではオリジナルのバンダナや日本の古布を使用することもあります。KERCHIEF DOWN JKTは、visvimのイベント「indigo camping trailer」で披露され、その圧倒的な存在感で多くのファンを魅了しました。このジャケットは、伝統と革新を融合させた中村ヒロキのクリエイティブなアプローチを象徴する一品です。
THORSON JKT
visvimの「THORSON JKT」は、泥染めされた高密度ナイロンツイル生地を使用したフライトジャケットで、伝統技術と現代のデザインが融合した一着です。このジャケットは、天然染めによる独特の色合いとダメージ加工が施されており、ヴィンテージ感あふれる風合いを持っています。ドロップショルダーのシルエットはリラックス感を演出し、内部にはウールパイルの詰め物が使用されているため、保温性にも優れています。
また、オリジナルスナップボタンや高品質なSwiss riri®ジッパーが使用され、細部にまでこだわりが感じられます。さらに、可逆仕様となっており、スタイルに合わせて表裏を使い分けることが可能です。このように、THORSON JKTは機能性とデザイン性を兼ね備えたアイテムとして、多くのファッション愛好者に愛され続けています。
SANJURO KIMONO DOWN JKT
visvimの「SANJURO KIMONO DOWN JKT」は、伝統と現代技術を融合させた逸品です。このジャケットは、イタリアのLIMONTA社製の高密度ナイロン生地をメインファブリックに使用し、耐久性と軽量性を兼ね備えています。内部にはホワイトスーペリアグースダウンを使用し、優れた保温性を実現しています。
さらに、WOOL/LINENのオリジナルリブや高品質なriri ZIPを採用し、ディテールにもこだわりが見られます。また、ハンドステッチ加工と天然染料による泥染めが施されており、独特の風合いと高級感を持っています。このジャケットのデザインは、和のテイストを取り入れたキモノスタイルで、伝統的な美しさとモダンな機能性を両立させています。SANJURO KIMONO DOWN JKTは、visvimのクラフトマンシップとデザイン哲学が凝縮されたアイテムであり、多くのファッション愛好者に支持されています。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。デザイナーの中村ヒロキ氏がデザインするアイテムは、素材や染色技術にこだわって作られ、日本だけでなく世界からも高い評価を受けています。また、全体的に機能的にもデザイン的にも便利で長く使えるアイテムが多く、中古市場でも人気の高いブランドとなっています。独特の風合いとこだわりの生地を使ったアイテムは後世に残るとも言われているので、今後もvisvimに注目していってくださいね。
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visvimの買取について
この記事を書いた人
MODESCAPE
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